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[コラム] 沖縄が安倍に勝った理由/イ・ミュンワォン

登録:2014-12-15 22:23 修正:2014-12-16 05:19

 先週日曜日、日本の衆議院議員選挙で沖縄が勝利した。 全国的には安倍が圧勝したが、沖縄の4つの選挙区から自民党が消滅したことは類例のない衝撃だ。 沖縄で安倍政権は相次いで致命打を受けている。

 安倍政権の暴走は続くだろうか。 容易ではないだろう。 安倍は集団的自衛権の解釈変更、“アベノミクス”に象徴される消費税増税、韓国および中国に対する限りない歴史戦争を招来することによって、東アジア情勢を不安にさせている。 もちろん安倍は同盟国の米国を信じている。 だが、韓国はもちろん“新型大国関係”を続けなければならない中国との不必要な歴史戦争を行う安倍は米国にとってももろ刃の剣だ。

 変数は中国だ。 中国は大国だが米国の覇権体制に今のところは挑戦できない。 米国と中国は新型大国関係であれ敵対的共生関係であれ、ある時期までは蜜月を続けなければならない。 2014年の国内総生産を購買力指数で換算すれば、中国はすでに米国を抜き世界1位になった。 だが、中国はまだ‘開発途上国’にすぎないというメッセージを繰り返している。 そのような中国としても、安倍の挑発は容認できない。 戦勝70周年をむかえる2015年には、歴史戦争の形で日本に対する中国の検証が本格化するだろう。 中国が今年、南京大虐殺を国家追悼日に指定したのはその序幕だ。

 逆説的にも、驚異的な大国ぶりにむしろ恐れを感じているのは中国自身だ。 中国が超強大国である米国に現実的威嚇として認識されるなら、履行期の中国の国家戦略は想像できない危機に直面することになる。 中国にとっての威嚇は米国だけではない。 大衆の民主主義の要求にも対応せざるをえない。 そうするはずはないが、今日の中国が民主主義要求に誤った処方を提示することになれば、辛亥革命後に軍閥が乱立して外勢を呼び入れた悲劇が思い出されるだろう。 それでも中国人民の民主主義要求をいつまでも封じ込めることはできない。

イ・ミュンワォン慶煕大教授。 //ハンギョレ新聞社

 そうした点から見れば、最近の習近平の「腐敗との戦争」は一種の恐怖政治だ。 政敵を除去して中国人民の不満を魔術的に縫合する装置だ。 一方、台湾の総選挙で執権国民党は大敗した。 これは一国二制度という旗じるしの下に両岸統一を模索した共産党と国民党の新自由主義的国共合作が危機に処したことを暗示するものだ。 香港人も蜂起した。 香港返還時に中国は60年間「香港基本法」に則り香港の政治体制を尊重すると約束した。 しかし、このようなミニ一国二制度の約束が白紙化される危機に陥って、香港の市民は雨傘革命で蜂起したのだ。

 現在、米国も中国も未来戦略の不確実性のために妥協して葛藤している。 この隙に日本の安倍が食い込んでいるということを私たちは知っている。 2015年は韓国の場合、光復(解放)70周年、中国は勝利70周年、日本は敗戦70周年をむかえる年だ。 韓日両国の場合、国交正常化50周年をむかえる乙未年で甲午年に劣らない歴史的大回転の時期になるだろう。

 戦後体制からの脱却は安倍の夢であり政治的信念だ。 しかしその夢は、東アジアでただ安倍だけが夢見る夢想だ。 太平洋の要石である沖縄で、自民党が全滅したという事実を安倍はよく考えなければならない。安倍の後見人を自任する米国もこの点を見逃してはならない。 沖縄からの自民党の退出は‘戦争’ではない共存の要求こそが新世紀の時代精神だという点を強力に喚起させている。 沖縄の勝利は東アジアの平和共存を渇望する沖縄人の非妥協的決意を示している。 事実このような時代精神を最も先頭に立って見せなければならない所は韓国だった。

イ・ミュンワォン文学評論家・慶煕大フマニタスカレッジ教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/669153.html 韓国語原文入力:2014/12/15 18:44
訳J.S(1698字)

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