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[特派員コラム] 日本のドリブル、韓国のポップコーン/キル・ユンヒョン

登録:2014-06-06 22:40 修正:2014-06-07 08:00
キル・ユンヒョン東京特派員

 孫崎享という名前を初めて聞いたのは尖閣諸島(中国名 釣魚島)を巡る中-日葛藤が本格化した入り口である2011年だった。 当時国際ニュースの‘ホットイシュー’に浮上した東アジア領土葛藤に対する資料を検索し、彼が書いた<日本の国境問題>という本に出会うことになった。 日本外務省の国際情報局長を歴任したという履歴が目についてアマゾンを通じて本を購入し一気に読んだ。

 慎ましい題名とは裏腹に本は非常に‘反米’的な主張を含んでいた。 この本の主題を一言に縮めるならば、日本が現在体験している北方領土(千島列島南端の4個の島),尖閣諸島、独島(ドクト)など領土紛争の背景には米国がいるということだった。 連合国と日本が第2次世界大戦を公式に終えて締結したサンフランシスコ講和条約で、これらの領土問題が曖昧に処理されて、米国はこの問題を解決しようとする日本の努力を干渉と威嚇で妨害する。 そのような過程を通じて米国はアジア-太平洋地域に対する自身の影響力を最大化してきたという主張だった。

 東京に赴任して半年ほど経った4月に彼にインタビューすることになった。 彼は普段どおり集団的自衛権を「米国の世界戦略の中で日本の自衛隊を利用できるようにする制度作り」という言葉で説明した。 概略の質問を終えた後、彼に‘反米’(彼は自らを‘反米’ではない‘自主’と呼んだ)になった理由を尋ねた。 彼が口にしたことは1972年‘ニクソンショック’と1985年‘プラザ合意’であった。

 ニクソンショックはアメリカのリチャード・ニクソン大統領が、日本には何の事前通報もせずに中国と外交関係回復に乗り出した後に日本政府が受けた巨大な衝撃を称する言葉だ。 孫崎はこれを通じて「結局アメリカという国は全てのものを自身を中心に思考している」という事実を痛感したという。 そしてプラザ合意。 その間に累積した天文学的な対日貿易赤字に耐えられなくなった米国は、この措置を通じて強制的に日本円を切上げる。 この時に発生した途方もない円高で産業競争力を失うことになった日本の資金は海外に抜け出たり、不動産市場に集まった。 その結果が今私たちが見ている日本国内の‘産業空洞化’とバブル崩壊以後の‘失われた20年’だ。 孫崎はこのような経験を通じて「1970~1980年代、日本外務省には日本が自主的な外交をしなければならないという流れが主流を形成することになった」という説明も付け加えた。

 こういう話を聞いて日本外交を調べると、‘親米一色’の韓国外交との微妙な差異を発見できた。 先月28日に発表された拉致被害者問題と関連した北朝鮮-日本合意やウクライナ事態以後に進行中の対ロシア政策などが代表的な例だ。 東郷和彦 京都産業大学教授(元外交官)は月刊<世界>6月号に「現在の中‐露接近は日本にとって死活的に重要な危機を呼び起こしかねない」と指摘した。 日本は北方領土のみならず中国牽制のためにもロシアとの協力を維持しなければならず、これに失敗して中・露がまとまる場合、日本が受けることになる傷は想像すらし難いという苦言だった。 しかし、このような選択は対ロシア制裁を強化しようとしている米国との衝突を起こすことになる。

 私たちが見るには憎らしいことだが、日本外交が光を放つのは米-日の国益が絶妙に交錯するこのような選択の瞬間だ。 今後日本はどんな選択をすることになるだろうか。 近い将来開幕するワールドカップを観るような気持ちでポップコーンを用意して見物しようとしたが、心の一方が暗くなる。 日本外交が活躍している間に大韓民国の対北朝鮮・対ロシア外交はどこに失踪したのだろうか。 このままぼんやりと日本の個人技外交を見物していて良いのだろうか。

キル・ユンヒョン東京特派員 charisma@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/640981.html 韓国語原文入力:2014/06/05 18:37
訳J.S(1731字)

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