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[社説] ‘朝鮮籍’在日同胞の歴史的特殊性無視の判決

登録:2013-12-12 22:44 修正:2013-12-13 00:53

 最高裁第3部(主審パク・ポヨン)は12日‘朝鮮’籍の在日同胞3世であるチョン・ヨンファン氏が大阪総領事の旅行証明書発行拒否処分の取り消しを求めた訴訟で、被告側である大阪総領事に軍配をあげた。在日という歴史的特殊性に起因した無国籍者の身分である朝鮮籍在日同胞を、事実上韓国人と認定しないという歴史無視で非人道的な判決といわざるをえない。

 朝鮮籍は、日帝強制占領期(日本植民地時代)に徴兵・徴用などで日本に渡っていった在日同胞のうち韓国独立以後も大韓民国や朝鮮民主主義人民共和国の国籍を取得せずに無国籍として残っている在日同胞をいう。北韓の国名である朝鮮民主主義人民共和国と似ているために総連系と誤解される傾向があるが、原則的に朝鮮籍は北韓および総連とは関係がない。例えばプロサッカーチームの水原三星で攻撃手として駆け回っているチョン・デセ選手は、父親の国籍に従って韓国籍だが、母親は朝鮮籍を維持している。このように在日同胞社会には生活の便宜や民族的自尊心、統一に対する熱望のために南北どちら側の国籍も取得せずに生活している同胞は多い。

 チョン・ヨンファン氏は2009年4月に民族問題研究所が主催した韓日共同シンポジウムに参加するために大阪の韓国総領事館に旅行証明書の発行を申し込んだが、身元が証明できないという理由で拒否されたため、取り消し訴訟を起こし、1審のソウル行政裁判所で勝訴した。同裁判所は、2009年12月、 "処分理由は存在しない、もしくは合理的裁量権の範囲を逸脱、乱用した処分であるために違法だ" と命じた。これに先立ち国家人権委員会も朝鮮籍の在日同胞に対する臨時旅行証明書発行の際に、国籍転向を強要または勧めたりこれを条件とする慣行を是正して再発防止策を設けろと外交通商部長官に勧告した。しかし2審のソウル高裁は翌年9月、総領事の広範な裁量権を認め1審を覆して、最高裁もこれを追認した。

 最高裁の判決は、朝鮮籍の在日同胞の国内出入りを自由に決められる権限を事実上政府に与えることによって、彼らの国籍選択決定権と良心の自由を大きく損ねる余地を設けている。すなわち政府が旅行証明書発行を武器に国籍変更を強要しても朝鮮籍在日同胞が抵抗する手立てがなくなった。より深刻なことは今回の判決が解放以後60余年間日本社会で差別を受けて朝鮮人としてのアイデンティティを守ってきた朝鮮籍在日同胞の苦痛の歴史と現実に目をふさいでいるという点だ。この判決で政府の在日同胞政策は今や‘棄民政策’という言葉が一層はびこるのではと心配される。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/615117.html 韓国語原文入力:2013/12/12 19:24
訳T.W(1196字)

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