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[社説] 南北関係改善の必要性を再確認したチャン氏失脚

登録:2013-12-10 00:38 修正:2013-12-10 08:05

 北韓が9日、チャン・ソンテク朝鮮労働党行政部長失脚の事実を対外的に公開した。金正恩党第1秘書兼国防委員会第1委員長が、自分を中心とした体制を強化するため叔母の夫であるチャン・ソンテクを追放したと見られる。金正日国防委員長の2周忌を10日後に控えた時点だ。

 北が発表したチャン・ソンテク失脚は、内容と形式の全てが異例だ。労働党は8日、金正恩が仕切る政治局拡大会議を開いて、チャン・ソンテクの各種の瑕疵を審判したあと、彼をすべての職務から解任して党除名・除籍することに決めた。今まで北韓で高位権力者の粛清は珍しくなかったものの、このような形を取ったのは前例を見出し難い。党中心体制を明確にして大衆的な名分を確保することを優先したと解釈できる。会議で議論されたチャン・ソンテクの罪目は‘反党反革命的分派行為’から‘内閣の経済事業妨害’ ‘不正腐敗・堕落行為’まで多様だ。チャン・ソンテクの再起が不可能なように楔を打って金正恩体制を強化する効果を図ったといえる。

 過去2年間、金正恩体制を構成する上で中心的な役割をしてきたチャン・ソンテクがこのような形で審判を受けること自体が北韓体制の後進性を見せる。しかし彼の失脚が北政権の安定と行く末に大きな影響を与えそうにはない。‘白頭(ペクトゥ)の血統’を掲げていた金正恩の正統性に挑む勢力はないといえるし、高齢の党・政・軍官僚らの相当数がすでに40~50代の新進勢力に交替させられた状態だ。また北韓政権は今春、‘核・経済建設並進’路線を公式化した後、それなりに経済改革に力を注いでいる。経済特区と対中国関係などでチャン・ソンテクが受け持ってきた役割はあるものの、今年に入っては目立った動きはなかった。

 気になるのはチャン・ソンテクの没落が軍部の権力強化につながる可能性だ。一部で分析されているように、チャン・ソンテクが長距離ロケット発射や核実験強行を推進した軍部に対抗してきており、これと関連した権力闘争によって追いやられたのが事実ならば、新しいナンバー2に挙げられるチェ・リョンヘ軍総政治局長をはじめとして軍部の声が大きくなりかねない。そうなると北韓の対外政策は一時的には現状維持をはかっても、強硬側に変わることはありうる。対中国・対米関係がうまく解決しないまま、南北関係に転換点が用意されないならば、なおさらだ。北韓核問題を議論するための6者会談再開はさらに難しくなるのはもちろんだ。

 北韓内部でいかなる変化が起きようが、朝鮮半島情勢を安定的に管理して核問題解決の可能性を高めるには、南北関係の改善が必要だ。現在は対北テコが何もない状態だ。間違っても北韓の急変事態を漠然と待つことがあってはならない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/614589.html 韓国語原文入力:2013/12/09 21:35
訳T.W(1256字)

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