双龍(サンヨン)自動車の社内下請労働者も違法派遣に該当するという裁判所の判決が先月29日に下された。 裁判所が現代自動車と韓国GMに続いて双龍自動車まで違法派遣判決を下しているにもかかわらず、大多数の自動車メーカーの工場で違法派遣が行われているということが改めて確認された。
裁判所が双龍車の例を違法派遣と判断した根拠を見ると、労働者がコンベヤーベルトを使って作業している点、双龍車所有の設備と工具を使っている点、双龍車の管理者が直接指示している点などだ。これは双龍車だけでなく現代自動車や韓国GMの判決でも等しく適用された判断基準だ。一般的な自動車の生産工程では合法的な請負が不可能だという点に裁判所がはっきりと釘を刺したのだ。
問題は裁判所のこのような判決が相次いでいるにもかかわらず、現実には目立った変化がないという点だ。現代車は不当解雇8年目の今年1月に最高裁の確定判決を受けたチェ・ビョンスン氏一人だけに正規職の発令をしただけで、社内下請け労働者1600人の訴訟は依然として係争中だ。韓国GMも違法派遣が最高裁で確定したのに2005年に労働部に陳情した社内下請け労働者843人中ただの一人も正規職に切り替えなかった。
不安定な雇用でも甘んじて続けざるを得ない非正規労働者たちは、自分たちの権利をつかみ取るために自ら立ち上がり戦うのは難しいのが現実だ。そのため非正規職労働者にとって裁判所の判決は最後に期待できる望みだ。しかし裁判所の最終判決さえ非正規職労働者問題を解決できずにいる。むしろ、裁判所の判決が無視される現実から確認できることは、雇用者の違法行為に対する処罰が軽すぎるために裁判所の最終決定まで冒とくされることが起こりうるということだ。
裁判所の判決に力がないならば、政府が直接乗り出して明確な処罰意思を示すほかない。朴槿恵大統領は大統領選挙の際にまさにこの問題に関連して一つの公約をしている。 "裁判所で違法派遣判決を受けた事業所を対象に特別勤労監督を実施し、同じ違法派遣が確認された場合は元請業者が直接雇用するよう行政命令を下す" という約束だ。
だが、これまで政府は違法派遣に目を閉ざして、違法行為が明らかになっても温情判決よりも軽い処罰をしてきたのが事実だ。そうした点から雇用労働部が最近、韓国GMに対して‘違法派遣特別点検’を行うことにしたのは政府の態度変化を示しうる良い機会だ。また今回をきっかけに産業界全般に蔓延している違法派遣を全面的に調べて対策を取る全政府的措置が続くことを望む。