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[世相を読む] 2013年8月、東京とソウル/キム・ドンチュン

登録:2013-08-13 15:21 修正:2013-09-23 22:46
キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

 私は今 東京でこの文を書いている。 靖国反対行事に発表者として参加し、10日夜にはキャンドルデモにも参加した。 東京の殺人的な蒸し暑さとアスファルトとコンクリート建物から吹き出てくる熱気は息を詰まらせた。 しかし、この蒸し暑さよりさらに息を詰まらせたものは、軍国主義の復活を夢見るいわゆる右翼の激しい応戦デモであった。 ‘愛国’の名を掲げたあらゆる団体が高性能拡声器と旭日昇天旗を掲げた車を路地ごとに配置し、鼓膜が裂けるほどの轟音を鳴らしたために300人余りのデモ隊のスローガンは聞こえもしなかった。

 A級戦犯 岸の孫である安倍が執権した日本は、今や何憚ることもなく国家主義の道に駆け上がっている。 執権自民党は憲法を改定して‘天皇を敬う国家’の国防軍を創設するという。 ついに副総理である麻生はナチの手法に`見習うことがあるとまで話した。 安倍内閣の一部は来る15日「国家のために喜んで命を捧げ‘護国の神’になった英霊をなぜ参拝してはいけないのか」といいながら大挙靖国に群がることだろう。

 東京でデモをしていたまさにその時間に、ソウルでは国家情報院選挙介入を糾弾する5万の市民が集まっていた。 日帝下で朝鮮独立活動家をひっ捕まえた悪名高い政治警察、すなわち特高の拷問、査察、工作政治の手法を習って作った中央情報部、すなわち今日の国家情報院が国民主権を壟断したことに対する市民の正当な抗議だ。 独立軍を討伐した日本軍将校の娘が韓国の大統領になり、彼女は民主主義の暗黒期70年代に公安検事として活躍したキム・ギチュンを最側近に呼び入れた。

 日本や韓国の執権層は共に‘国家’の名で、きわめて初歩的な手順を踏んだ民主主義と責任政治の原則を踏みにじり、主な放送と新聞を政府広報紙に変質させた。 政治的反対者を非国民に追い立てて、無慈悲なムチを振り回した帝国主義日本は、このようにして韓国と日本でもぞもぞと復活した。 そのような両国の実状はどうなのか? 福島原発事態で日本の土地の一部は廃虚になったし、韓国の川は今死につつある。 この二つの国は自殺率で世界1,2位を記録しており、国民の生活の質や社会的権利、特に労働者と女性の地位では経済協力開発機構(OECD)国家中で常に末席を争っている。 天皇制と国家保安法が国民の服従を強要する右翼独裁60年が作り出した結果ではないだろうか?

 それでも一時は帝国の野望を燃やし、米国の安保の傘の保護と韓半島の戦争を金儲けの機会として経済発展の奇跡を成し遂げた日本は別に惜しいことはない。 植民地の屈辱を体験した後にも日本の代わりに戦争と分断を体験した韓国はいったい何なのか? 未だに日帝末の徴用・徴兵で犬死にさせられた朝鮮青年たちの怨みの霊が帰って来れずにいるではないか?

日本が国防軍を作れば投入される国は事実上韓半島しかない。 かつて日本が日清戦争を名分に韓半島に入ってきて、朝鮮王朝の代わりに東学軍を鎮圧したように、韓半島に紛争が発生すれば彼らは再び入ってくるだろう。 韓国の‘親米愛国’勢力はまもなく‘親日愛国’あるいは‘親中愛国’勢力に変わるだろう。 その時になって国家とか愛国とかいうスローガンが事実、彼らの私的欲望の別表現だったことを国民が知るようになっても、すでに手遅れだ。

 国家主義極右政治の終着点は戦争だ。 過去の日本帝国主義の最大の犠牲者は、日本と朝鮮の貧しい青年たちだったように、韓半島と東アジアで紛争と葛藤が発生すれば再び青年たちが先に死ぬだろう。 いや、事実、彼らは経済戦争で今も毎日死んでいるではないか? 韓国・日本の青年たちよ、負けるな。

キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/56/599238.html 韓国語原文入力:2013/08/12 21:36
訳J.S(1676字)

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