本文に移動

[世相を読む] ‘ソウル火の海’が難しい理由/キム・ジョンデ

登録:2013-03-15 15:41 修正:2013-03-16 06:47
キム・ジョンデ<ディフェンス21プラス>編集長

 "北韓の挑発威嚇より大型マート休業のほうが不便" と話すソウルの中年たちにとって北韓は嘘をつく羊飼いの少年に過ぎない。 北韓が言葉で吐き出した威嚇どおりならば、ソウルはすでに数十回は火の海になっているはずだが、そのような‘韓半島黙示録’を信じる人は殆どいない。 事実、金正恩の立場から見て、ソウルを核兵器や長射程砲で打撃するには決定的な問題がある。

 先ず、すでに首都圏には数多くの外国人が暮らしているためだ。 行政安全部によれば2012年基準で我が国に居住する外国人住民は計140万9577人で、前年より11.4%増加した。 国籍別には韓国系中国人を含む中国国籍者が78万1616人(55.4%)で最も多く、次いでベトナム16万2254人(11.5%),米国6万8648人(4.9%),南アジア6万2862人(4.5%),フィリピン5万9735人(4.2%)の順だ。 北韓がソウルを‘火の海’、‘核の海’にするために長射程砲をむやみに撃ちまくるならば、彼らの同盟国である中国と世界の多くの国が自国民保護のための措置を取らざるをえない。 特に長射程砲の射程距離内にある首都圏に外国人が集まっている。 京畿(キョンギ)安山市(アンサンシ)(6万583人),ソウル永登浦区(ヨンドンポク)(5万7180人),九老区(クログ)(4万3239人),京畿(キョンギ)水原市(スウォンシ)(4万537人)は全て北韓の長射程砲の射程距離(70km)内だ。 北韓は世界と戦争をしなければならない。

 第二に、戦争の時にこれらの外国人は脱出し難い。 特に英米系の外国人が戦争の時に本国へ安全に脱出するには、各国大使館が用意した非常計画どおり城南(ソンナム)のソウル空港に集結しなければならない。 ここから本国へ向かう飛行機に乗らねばならないが、李明博前大統領はソウル空港近隣に第2ロッテワールドの建設を許可し、事実上有事の際のソウル空港機能をマヒさせた。 次順位集結地は烏山米空軍基地だが、わが軍が交通を全面統制することになれば歩いて行かねばならず丸一日はかかる。 結局退路が遮断された外国人たちは立ち往生してソウル火の海の人質になるが、これが金正恩を苦しくしている。

北韓長距離ロケット銀河3号

 第三に、ソウルというおかしな都市は北が撃つなら撃てと言わんばかりだ。 現在、首都圏に化学兵器に備えた1等級待避施設は23ヶ所(6000坪)設置されているが、これは核戦争で全体居住者の0.08%しか受け入れできない。 放射性診療機関もやはり1次診療機関が12ヶ所、2次診療機関が14ヶ所しかないので有事の際の死傷者処理対策が殆どない。 核戦争でない在来式兵器による攻撃には計2万6000個所余りの待避施設で耐えるというが、エネルギー・飲料水・通信供給が全面遮断されるので持ちこたえるのは難しい。 それだからと言ってソウル市民を避難させる政府計画をたてることも不可能だ。 そのように無防備に命を差し出されているので金正恩はより一層苦しくなる。

 歴史上の敵の大砲がわずか40kmのところで威嚇する戦場に、1500万人が居住するケースはなかった。 狭苦しい戦場にこのように高い人口密度は歴史上どんな戦争にも見出し難い。 ソウルはすでに大韓民国の都市ではなく全世界が共有する都市だ。 戦争威嚇の前でも、天真爛漫に自身の安危を心配しないソウルは、冷戦時代に作られた抑止と防御という安保概念では説明できないとてもおかしな都市だ。 論理的に理解できないが、直観的には "戦争はない" という事実をソウル市民はすでに看破している。 それを知っている北韓は自身の火の海脅迫が通じないと言うことに強く虚しがるのだ。

キム・ジョンデ<ディペンス21プラス>編集長

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/578059.html 韓国語原文入力:2013/03/15 11:37
訳J.S(1705字)

関連記事