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[社説] 色あせる‘福島の教訓’

登録:2013-03-11 19:48 修正:2013-03-11 23:39

 日本の福島原子力発電所で事故がおきて2年になったが、原子炉1~3号機の内部はまだ正確な状況把握さえできない状態という。露出すれば即死しうる致命的な放射性物質が吹き出し続けていて人間が近寄れないためだ。原子炉の温度は低くなったものの溶けて流れたと推定される核燃料棒を、原子炉から取り出した後に隔離することは検討すらできずにいる。現場の責任者の話では燃料棒の除去作業は2022年頃に可能で、事故が起きた原発を廃棄するまでには最低30~40年以上かかるという。一日数百tずつ増えている放射性物質汚染水も臨時で汲み出しているが、それも限界があるという。

 原発は人間の統制を越える大災難だ。 放射能漏出対策は全くない実情であり、事故収拾もまた、戦場に竹やりを持って突撃するようなものという。たとえ原発を廃棄するにしてもチェルノブイリで見られるように、一帯は永久に死の土地になる。このように地獄の炎が燃え上がっているのに、福島の教訓は色あせつつある。

 一時、原発ゼロを宣言した日本は昨年末の総選挙で自民党が圧勝して、原発の再稼働側に転換した。日本政府は国民の70%が原発の再稼働に反対しているのに、安全が確認された原発は再稼働するとこのほど宣言した。中国は先月、遼寧省に新しく建てた原発を稼動し始め、福島事故以後 保留していた原発建設計画の再開を承認した。 韓・中・日が運用している原発が世界の20%ほどを占め、計画通り作った場合、世界の原発の半数近くが集まるという。事故の当事者である日本や、原発で事故がおきた場合に私たちに直ちに影響を及ぼす中国のこのような動きは非常に憂慮の恐れがある。原発産業がアジアを中心に成長するという国際原子力機構の展望を黙示録的な警告として受けとめるべきだ。

 朴槿恵大統領は寿命がきた原発の再稼働の適否について、ヨーロッパ連合レベルのテストを経るとして、安全優先主義に立った原発運営を約束した。政府は先月まとめた2013~2027年の6次電力需給基本計画で遠からず寿命を迎える原発を続けて稼動することを前提に発電設備容量を算出した。古い原発に対する寿命延長の意図があるという疑念が感じられる。福島の事故を他山の石として古い原発は閉鎖して、原発依存度を低くしていくべきだ。

 福島の事故が語るように、原発は絶対に安全ではないエネルギーであり、未来の世代にその危険をそっくり残すことになる。天文学的な原発の閉鎖および事故処理の費用を考慮すれば決して経済的でもない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/577338.html 韓国語原文入力:2013/03/10 19:04
訳T.W(1163字)

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