北韓が第3次核実験を通じて事実上核兵器保有国の隊列に入ったという評価がされ始め、これまでより安保に対する関心が高まっている。そのなかで有事に第一線で国民の生命と財産保護の責任を負う国防長官に誰を座らせるかというのは一大事に違いない。朴槿恵・次期大統領が大統領府の秘書室長の人選に先立って発表した長官候補6人の中にキム・ビョングァン国防長官候補を盛り込んだのもこのような事情を考慮してのことであろう。
しかし彼が果たしてこのように急激に悪化した時期の国防長官として適当な人物かと言えば疑問を持たざるをえない。彼が携帯電話に朴正熙・元大統領夫妻の写真が入ったリングをつけている‘おかしな好み’の所有者だからではない。民主化時代の国防長官候補者としてふさわしく見えない行動だが、それでもこの程度は愛嬌として見られる。
彼はこれまで国会人事聴聞会を通じて落馬の基準として定着している不動産投機、脱税、兵役不正、偽装転入、論文盗作の本格的な検証が始まる前に、投機と脱税の二つで失格点がついている。1986年に夫人と8才の長男の名前で慶北道醴泉郡の林野を買いとり2005年の公職者財産申告時に所有者から長男を除いた。後日、事実を認めて贈与税を払ったがそれで不正が隠せたわけではない。さらに2000年に2師団長として在職していた際に建て替えが予想されるソウル江南のマンションを購入するなどの投機疑惑も受けている。
納税や投機の面で全く問題点がなかった現在のキム・クァンジン国防長官と極めて対照的だ。しかも朴氏側がキム・ヨンジュン総理候補が資産形成疑惑と息子の兵役問題などで落馬した後に徹底して検証したと明らかにしたばかりなだけに失望感がいっそう高まる。不正を知っていながら聴聞会通過に自信を持っていたとすれば道徳的に問題があるわけで、検証過程でこのような疑惑を発見できなかったとすれば問題検証といわざるをえない。
より問題なのは彼が退職後に兵器仲介業者の‘ロビイスト’として働いていたという疑惑だ。彼は2010年7月から2012年6月まで陸軍の次期戦車のK2パワーパック(エンジンと変速機)の輸入業者の非常勤顧問として勤めていた。表現は非常勤だが、業界側の話では「非常勤なのでプロジェクト遂行ではなくロビー活動をしていたという意味」という。昨年国内開発からドイツ製パワーパックに変わったことについて、監査院が是正の指示をしたが、この時期がまさに彼の業者勤務時代と一致する。徹底的に暴くべきものだ。いくら急いでいても外国兵器の仲介業者のロビイストを国防長官に任命するわけにはいかないではないか。