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【朝の陽射し】北核危機と指導者の信念 /チョン・ヨンム

登録:2013-02-14 19:38 修正:2013-02-14 20:37
チョン・ヨンム論説委員

 北が朴槿恵(パク・クネ)大統領当選人の就任式を目前に控えて核実験を強行した。 南北間の政治・軍事的信頼が積もり非核化が進展すれば南北関係を正常化させるという朴当選人の "韓半島信頼プロセス" は大きな難関に直面することになった。 当分南北関係が改善される余地はないように見える。

 しかし、葛藤状況と突発事態の中でこそリーダーシップは光る。 重要なのは公約集ではなく、和解協力の意志を貫徹せんとする指導者の一貫した信念だ。 朴当選人も、南北対話再開に前提条件は付けないと言った経緯がある。長期的観点で危機状況を突破するためのまた別の戦略を準備しなければならない。 金泳三政府は任期序盤に「いかなる同盟も民族より優るものはない」という就任辞とともにリ・インモ氏送還(訳注:リ・インモ氏は北の人民軍従軍記者出身で逮捕後34年間の獄中生活を送った長期囚で釈放後北の家族とも連絡が付き、送還運動が広がっていた)などを意欲的に推進した。 だが、いざ北核事態に直面しては「核を持った者と握手はできない」として対北強硬姿勢で一貫し、経済協力まで中断となる。 金大中政府は違っていた。 観光客抑留事件が発生するや金剛山(クムガンサン)観光を中断したが、北との交渉は続け、釈放後直ちに観光を再開した。 延坪(ヨンピョン)海戦でもまた断固とした対処を取りながらも、それを理由に南北関係を中断させはしなかった。

 現在はいくつかが古い遺物として残っている高さ3mのベルリンの壁を、しばらく前に行って見て回りながら、指導者の信念と統一に対する意志の重要性を肌で感じた。 1989年のドイツ統一を主導したヘルムート・コール総理は統一の2年前、身辺の危険をかえりみず、個人資格で週末を利用して東ドイツに2泊3日の家族旅行に行ってきもした。 統一の1年後、ヘルムート・コール総理は「統一費用が今より3倍必要であっても、私たちは統一をあきらめることはできない」と語った。 そしてドイツ国民は経済的費用だけでなく精神的苦痛にも耐えなければならないと語った。 民族統一はいかなる費用を払ってでも守らなければならない価値があるという前提を置いたのだ。

 ドイツの分断は第1次・第2次世界大戦の罪の償い的性格が濃厚だ。 ベルリン近郊ポツダムに集まった連合国首脳部はドイツを分断国家として維持すれば第3次大戦の危険がそれだけ減少すると考えた。 統一は連合国が歓迎することではなかった。 特にロシアは東ドイツをあきらめることはできないという立場だったし、英国は露骨に統一に不満を表わした。 しかしドイツは変化する国際社会の雰囲気を読んでそのスキ間に食い込みながら、自分たちの立場を強化した。 連合国の反対を押し切って主導的に統一を実現し、意志あるところに道ありという平凡な真理を立証し遂げたのだ。

 ドイツは口先だけで統一を語りはしなかった。 中でも東ドイツに対する西ドイツの社会間接資本拡充と物流体系構築は改めて注目に値する。 西ドイツ政府は分断状況で東ドイツに通じる高速道路4本と国道6本、国境通過鉄道8本、内陸運河2本、航空路3本を建設した。 建設費用は全て西ドイツ政府が負担し、事後管理費用まで*(従事し)*た。 物流体系構築は多くの時間と費用のかかる長期的な国家再建事業だ。 何度も突発事態が起こり東西ドイツの緊張関係が醸し出されたが、統一基盤を固める努力は緻密に一貫して続けられた。

 今年は韓国戦争停戦60周年になる年だ。 休戦60年になっても平和協定へと帰結できずに技術的戦争状態が持続しているケースは韓国戦争が唯一だ。 朴当選人は "窮卽変 変卽通(窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通ず)" の知恵を発揮すべきであり、歴代大統領の誰よりも内部的に運身の幅が広い。 制裁と圧力を加えれば北は核開発の必要性をより一層感じることになろう。 経済で得る利益が核開発で得る利益よりはるかに大きければ、北核問題の解決も可能になり得る。 北と協力して韓半島経済時代を開くことは韓国経済の再跳躍にも保証小切手になるだろう。

チョン・ヨンム論説委員 young@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/573565.html 韓国語原文入力:2013/02/12 21:22
訳A.K(1847字)

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