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【ハンギョレ プリズム】 “優しいブルドーザー”パク・ウォンスン/クォン・ヒョクチョル

登録:2012-12-06 08:50 修正:2012-12-06 10:56
クォン・ヒョクチョル社会2部首都圏チーム長

「パク・ウォンスン市長はうまくやってますか?」

 ソウル市出入り記者である私がこの1年余りしばしば訊かれた質問だ。 そのたびに私は「そうですねえ。 もう少し見守ってみないと」と答えた。 パク市長就任後1年と少しで、評価する具体的内容がなかったためだった。

 この1年間、私はパク市長とかなり何度も食事を一緒にし、1時間を越えるインタビューも数回やった。 だが、これだけでパク市長を正しく知ることは難しいと考えた。 先月中旬の7泊9日間、パク市長のスペイン、イタリア、フランス出張に同行取材をした。 パク市長を近くで見守る良い機会だった。

 取材に行ってきて私が下した結論は「パク・ウォンスンは優しいブルドーザー」というものだった。 “優しいブルドーザー”はヨーロッパ出張に同行したチョン・テイン<新しい社会を開く研究院>院長が付けたニックネームだ。

謙虚な日常の言動と仕事に狂ったような情熱。 パク市長は一見矛盾しそうな二つの姿を同時に見せた。

 出張期間中一貫してパク市長は格式に縛られない行動を取った。 先月14日午前、イタリアのボローニャでは突然都心デモが始まって道が完全に詰まってしまった。 パク市長に随行していたソウル市公務員たちは、予期せぬ事態に明らかに慌てた様子だった。 目的地に定刻に着くには、市長に車から降りて不慣れなイタリアのデモ隊のど真中を歩いて行くよう言わねばならない状況だった。 権威的な市長ならば「一体なんでこんなに準備もしないで事を運ぶか!」と怒鳴り散らされるところだったろう。 だがパク市長は平然とデモの人波をかき分けて目的地に向かって15分程歩いた。

 フランス パリの海外同胞社会では、パク市長の気さくで実用本位の姿が話題になったという。 現地で旅行会社を営む海外同胞は次のような文をオンラインに載せた。「パリでの現場訪問の際、ミニバンにパク市長が乗ることになった。 たいていミニバンは上席が前の席なので市長が後から乗らなければならない。 パク市長が一番先に乗ろうとするや誰かが『市長さんは最後にお乗りにならなくては』と言ったが、パク市長は『忙しいんだから私が先に乗ろう』と言って先に乗り、一番後ろの席の一番隈に行って座った。 ところが他の車両で移動していた一行のうち2人がその車両に乗り遅れ、ミニバンにやってきて『乗せてほしい』と言うと、パク市長は一番後ろの席の窓側にさらにぴたっと詰めて座り、『乗りなさい』と言った。」

 パク市長は出張期間中ずっと、仕事に対する情熱と推進力を見せた。 平日はもちろん土・日も休まないで朝早くから夕方遅くまで、注目すべき成功を収めているヨーロッパの協同組合と社会的企業を訪ね歩いた。 おかげでソウル市公務員たちは出張期間中ずっと“明け方の星を眺める運動”をすることになった。

 出張中パク市長が取り出した構想に対して何人かの公務員が「法的根拠がない」「予算がない」「前例がない」などの理由を挙げて難色を示した。 すると温和だったパク市長は断固として言った。「その問題は私が解決します。 検討して下さい。」

 パク市長は先月17日夜、ヨーロッパ出張を終えるにあたって記者たちに、残った任期の間「正しい決定ならば反対があっても推進する」という意思を遠回しに伝えた。 今年で市長職12年目のバートランド・デアラノー パリ市長との面談内容を伝える形式を借りて。

 パク市長は「私はこの1年間、公務員たちとの関係や行政プロセスなどを習得する必要があるので慎重に接近してきた。 デアラノー市長は自身の経験をあげて、勇気をもって考え行動し、その過程で市民と十分に討論し説得して、多くの人が反対しても正しい決定ならばちゃんと推進すべきだと語った。」と伝えた。

その瞬間、パク市長がこの1年間繰り返し言っていた“何もしない市長”から“優しいブルドーザー”に変わる感じを私は受けた。

クォン・ヒョクチョル社会2部首都圏チーム長 nura@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/563740.html 韓国語原文入力:2012/12/04 19:21
訳A.K(1811字)

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