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[特派員コラム] 安哲秀(アン・チョルス)現象と橋下現象

登録:2012-10-26 21:09 修正:2012-10-27 06:55
チョン・ナムグ東京特派員

 日本マスコミのソウル特派員たちが安哲秀(アン・チョルス)大統領候補の常勝疾走を日本の‘橋下現象’と似ていると見る記事を何度も書いた。 浮上する第3勢力という点は同じだが、私の反応は 「エーッ、それは違うだろう」であった。 何よりも追求する価値が違う。 橋下は極右派、安哲秀(アン・チョルス)は中道進歩と見える。 ところが最近見るにつけ私の目にも共通点が少し見える。 ‘既存政治に対する不信’を戦略武器として使うという点だ。

 もちろんすべての新しい政治は既存政治に対する批判から出発する。 ここから更に進んで、その政治を担当する人々を批判の俎上に上げ、その中で標的をよく選んで格好良くなぎ倒しさえすれば、大衆はカタルシスを感じてその指導者に歓呼しがちだ。

 2010年 河村たかし名古屋市長がそのような政治を一時リリースしたことがある。 彼は住民税を10%減らし、市会議員の数と給与を半分に減らすという画期的な公約で当選した。 ところが既存政党中心の市会議員たちがこれを遮った。 彼は市会議員を公敵だとして、住民召還運動を行うことにより結局市議会を解散した。

 橋下徹 大阪市長は一枚上手だ。 彼は大阪府知事になるや自身の給与は30%、退職金は半分に削り財政支出削減に反対する議員を既得権守護勢力に追い詰めた。 更に続けて大阪‘府’と‘市’の統合を新たな目標に掲げた。 その効率性を否定的に見た大阪市長が今度は標的となった。 橋下は知事職を投げ出して、市長選挙に参入し勝った。 彼が率いる地域政党大阪維新の会は大阪府議会では過半数の議席を得、市議会では第1党になった。 彼はこれを踏み台として最近‘日本維新の会’という全国政党を作り総選挙に飛び込むことにした。

 安哲秀候補の歩みにも橋下と似ている点が垣間見える。 彼は既存政界を国民に不信を受ける勢力と規定し、候補単一化を挙論するのに先立ち民主党の革新を要求した。 全て一理ある話だ。 ところで‘国会議員定数と政党に対する国庫補助金を減らそう’とまで言ったことは常軌を逸しているようだ。 政治自体に対して不信を助長することは票を貰うには有利な面もあるだろうが、国を考えれば望ましい方向ではない。

 民主主義はそれこそ‘煮たり焼いたり’することだ。 政治に民意がどれほどよく反映されるかが重要だろう。その過程の経済性を先に考えてはいけない。 私たちは名前だけが大統領で、事実上は王を選ぶ時代を長く過している。 聖君を選んだからと言って民主主義が実現するわけではない。 立派な人格も良いが、それより正しいビジョンと政策、実行能力が今日の民主主義指導者にとってははるかに重要だ。 未来指向的指導者ならば、具体的な政策代案にこそ数倍の力点を置くことが正しい。 それが世論の同意を得る時、執行を遮る勢力と彼らを支える政治制度を変える力は自ずから出てくる。

 河村 名古屋市長はもう人々の関心から消え去った。 名古屋にこれという革新がなかったからだ。 日本維新の会は去年の夏、一部世論調査で支持率が現政府の与党である民主党を上回るほどだったが、1ヶ月余りでその‘橋下劇場’は秋風が吹くようになった。 敵を倒すことは小気味良かったが、国政をどのようにするのかが漠然としているからだと言う。 大統領選挙競選は数ヶ月で終わるが、国民の暮らしは長く継続する。

チョン・ナムグ東京特派員 jeje@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/557525.html 韓国語原文入力:2012/10/25 19:11
訳J.S(1558字)

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