欧州連合(EU)は、ホルムズ海峡に海軍を派遣しないことを決めた。米国のドナルド・トランプ大統領にイランとの戦争を支援するよう迫られているが、欧州は「我々の戦争ではない」との反応を示している。
仏紙「ル・モンド」によると、EU加盟国の外相は16日(現地時間)に行われた定例会議で、中東地域でのEU加盟国海軍の作戦「アスピデス」の範囲をホルムズ海峡にまで拡大しないことで合意した。アスピデスは、親イランのフーシ派の攻撃から商船を護衛する作戦。現在、フランス、イタリア、ギリシャの3隻の艦船がイエメン周辺の紅海で活動している。これらの艦艇をホルムズ海峡に投入するには、加盟国が任務範囲の修正に合意する必要がある。
EUのカヤ・カラス外交・安全保障政策上級代表は会議後、記者団に「誰もこの戦争に積極的にかかわることを望んでいない。現時点ではアスピデス作戦の任務範囲を修正する意志はない」と語った。続けて「この戦争は欧州の戦争ではないが、欧州の利害関係は直接的に絡んでいる」として、「戦争が長期化して(欧州にとって)得られるものは何もない」と付け加えた。米国とイスラエルに戦争を長く続けさせるために軍事支援する考えはないということだ。
会議中も、艦船派遣への各国の反対表明が相次いだ。スペインのアルバレス外相は「アスピデスの現在の任務範囲は適切だ。どんな修正も必要ないと思う」と述べた。ドイツのヴァーデフール外相も、米国とイスラエルがイランとの戦争でいつ「目標が達成された」と判断するかをまず知らなければ、欧州の安全保障構想は変えられないと指摘した。いつ終わるかも分からない戦争に巻き込まれることはしないということだと解釈される。
この会議以外でも、各国はホルムズ海峡に軍を送らないことを表明している。ドイツのメルツ首相はこの日、ベルリンでオランダのイェッテン首相と会談し、「米国とイスラエルは(この戦争について)私たちと事前に何の協議もしていない」として、「この戦争が続く間、我々は軍事的手段による(ホルムズ)海峡の航行の自由の保障にはかかわらない」と述べた。
ドイツのピストリウス国防相も先に「トランプは強力な米海軍もできないことを、欧州の数隻のフリゲート艦にはできると思っているのか」、「この戦争は我々の戦争ではなく、我々が始めたものでもない」と述べた。英国のスターマー首相も記者会見で、「これ(ホルムズ海峡防衛)は北大西洋条約機構(NATO)の任務にはならないだろうし、そう考えられたこともない」と述べた。
欧州は、武力ではなく外交で戦争を早期に終わらせよとの立場だ。アルバレス外相は「緊張を高めたり、事態を悪化させたりする行動をしてはならない。(戦争当事国は)空爆をやめ、中東のすべての国に対するミサイル攻撃を中止し、交渉のテーブルに戻るべきだ」と呼びかけた。
イタリアのタヤーニ外相は「ホルムズ海峡での航行の自由を保証するには、さらなる外交努力が必要だ」として、「これは西欧諸国だけでなく、中国を含む全世界に関わる問題」だと指摘した。
欧州のこれらの発言は、トランプ大統領がホルムズ海峡に海軍を派遣するよう各国に迫っている中でなされた。トランプ大統領は前日にフランスのマクロン大統領とこの問題について議論しているが、マクロン大統領の回答は「完璧ではなかった」という。それでもトランプ大統領は「彼は助けてくれると思う」と語った。英国については「彼らは参加するだろうと思うし、参加しなければならない」と主張した。