米国とイランの戦争が予想より長期化し、米国による同盟国の放棄と関与への懸念が強まり、韓米同盟にも連鎖的な波及効果を及ぼすという見通しが示された。放棄と関与は、同盟関係において「同盟国の助けを得られず捨てられるリスク」(放棄)と「同盟国の戦争に望まぬかたちで引きずり込まれるリスク」(関与)を意味する。
韓国の国家安全保障戦略研究院が16日、ソウルメディアセンターで開催した「グローバル同盟秩序の変化と韓米同盟の未来」と題する討論会で、高麗大学のイ・ドンソン教授は「中東戦争は長期化する可能性が高い」として、その理由として「米国とイスラエルの軍事力の限界」を挙げた。イ教授は「軍事力が強ければ必ず勝つのではなく、戦略があってこそ勝てるにもかかわらず、米国の戦略には問題がある」として、「米国とイスラエルが進めている戦略爆撃で他国を屈服させた事例は、歴史上一件もない」と指摘した。最終的には「米国とイスラエルがイランを屈服させることはできず、イランは再侵攻を防ぐために抵抗を続け、石油とガスの価格が上昇を続ける」という陰鬱なシナリオの可能性が高いということだ。
イ教授は、このような状況がウクライナ戦争にも大きな影響を及ぼし、NATO(北大西洋条約機構)や韓米同盟などに連鎖反応を引き起こすことになると予想した。「ウクライナ戦争と中東戦争は相互に影響を及ぼす。ウクライナに送られるはずの兵器が中東に行き、ロシアは原油価格の上昇で状況が有利になっており、欧州諸国が米国と協力する原動力が減るため、米国とイスラエルの勝算も低くなる」という分析だ。さらに、「欧州諸国は、米国がロシアに続き中東でも押されるのをみて、『米国との同盟は資産なのか、負債なのか』という疑問がますます膨らみ、ウクライナが敗北すれば『NATOの同盟を信じてもいいのか』という懸念が強まるため、NATOは有名無実化するだろう」とイ教授は見通した。また、米国が中東などから撤退し、インド太平洋に集中して中国へのけん制を強化するという「アジア回帰」はさらに遠のき、これが韓米同盟にも重要な影響を及ぼすと予想した。
世宗研究所のキム・ジョンソプ首席研究委員は、韓米同盟が「北朝鮮抑止から北朝鮮と中国の同時抑止に変化している」と分析した。
キム研究員は、米国の国家安全保障戦略(NSS)について、米国が戦略的に後退して西半球と国内産業の回復に集中し、中国との軍事的衝突よりも、経済的優位をめぐる長期の競争に焦点を合わせる▽米国の覇権を縮小するのではなく、ベネズエラとイランとの戦争、グリーンランド併合などを行い、積極的に軍備増強を進めるという解釈▽トランプ大統領には大きな戦略はなく、内部のさまざまな分派が衝突し、米国の国益を損なう自害的な暴走という交錯した解釈があると紹介した。
このため、トランプ政権内部では韓米同盟の現代化についても、中国へのけん制に集中し駐韓米軍の縮小も可能だとする「中国最優先陣営の同盟調整論」▽朝鮮半島の戦略的価値を強調する韓米同盟拡張論▽米国の国益と合致するよう駐韓米軍も大幅に縮小し、在日米軍の兵力も東に分散配置すべきだとする「戦略的後退陣営の同盟縮小論」が競合しているという。
このような複雑な状況下で「韓米同盟は北朝鮮抑止から北朝鮮と中国の同時抑止に変化している」とキム研究委員は分析した。「米国が朝鮮半島の安全保障の主な責任を韓国軍に委任する一方、在韓米軍の任務と性格を、北朝鮮抑止中心から中国と北朝鮮の同時抑止のプラットフォームへと発展させている」ということだ。キム研究委員は「米中戦略競争の行方には不確実性が残っているが、韓国としては、短期的には勢力均衡に基づく米中戦略競争シナリオ(同盟調整、拡張)を中心にすえつつ、中長期的には米中協力体制の可能性と同盟縮小も念頭に置く必要がある」と述べた。つまり、韓国としては、同盟結束を阻害しない範囲内で依存を減らし、自律性を高める方向で均衡を再設計する必要があるということだ。
キム研究委員は「韓国の自律性強化は、同盟の代替ではなく、同盟維持の条件」だとし、「韓国の能力と寄与が高まるほど米国の負担は減り、米国の対中けん制の要求についても韓国が主導権を握るうえで役に立ち、同盟の持続に寄与する」と強調した。また、在韓米軍が調整されたとしても、数字に過度に敏感に対応するのではなく、韓国軍の自強の機会にすべきであり、戦時作戦統制権の転換を通じた「朝鮮半島防衛の韓国化」に拍車をかけるべきだと強調した。
米国のトランプ大統領がホルムズ海峡の護送連合軍に韓国の派兵を要求していることについても、助言が出た。イランと3回の交渉経験がある延世大学のチェ・ジョンゴン教授(元外交部第1次官)は、「まずは様子を見るべきであり、急いではならない」としながらも、「派兵は、トランプ大統領のSNSだけを見るのではなく、米国の公式要請の内容を確認しなければならない」と述べた。また、「自爆ドローンが飛び交うようになった戦場環境の変化のもとで、はたして韓国の兵士の安全が確保されるのか、韓国が派兵すれば(ホルムズ海峡で足止めされているタンカーなど韓国の)26隻の船が動けるのかどうかについても追及しなければならない」とし、「イランやイスラエルとも水面下で交渉しつつ、外交的信頼を蓄積し、欧州諸国とNATOの動きに注目しなければならない」と述べた。