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トランプ大統領の232・301条「関税カード」…発動すると税率調整の万能キーに

登録:2026-02-24 05:59 修正:2026-02-24 08:40
通商拡大法232条・通商法301条の判例をみると
ドナルド・トランプ米大統領が20日、ホワイトハウスのジェームズ・ブレイディ記者会見室に到着し、記者団と話をしている/AP通信・聯合ニュース

 米連邦最高裁がトランプ政権の相互関税等を無効とする判決を下した中、ドナルド・トランプ大統領は通商法301条と通商拡大法232条を代替案として提示した。両法案は初期の発動手続きが煩雑で適用範囲が制限されるという欠点があるが、関税率の上限がなく、一度発動されると税率調整が自由であることから、相手に圧力をかけるトランプ流の「交渉のレバレッジ」としての威力は十分とみられる。

 通商法301条は、外国政府の「不合理または差別的な」貿易慣行から米国の商取引を守るために、通商代表部(USTR)に調査と対応措置の権限を与えた条項。関税率の上限規定がないため、理論上は超高率の関税を課すこともできる。第1次トランプ政権は同条項を根拠に、2018年に中国の技術移転や知的財産権侵害などを問題視し、2018年から2019年にかけて約3700億ドル(約57兆1600億円)規模の中国からの輸入品に対し、7.5~25%の関税を課した。この措置はバイデン政権を経て現在まで維持されている。

 問題は発動の手続きが複雑な点にある。調査開始の通知と最低30日の意見聴収、対象国との最低60日の協議、公聴会の開催、最終決定および連邦官報の公告の順で手続きを進める必要があり、通常6カ月から1年以上かかる。一方的に期間を短縮した場合、行政手続法(APA)違反の訴訟に直面する可能性がある。

昨年3月20日、欧州委員会のステファン・セジュルネ副委員長(繁栄・産業戦略担当)が鉄鋼行動計画を発表した。ドイツ・デュースブルクのティッセンクルップ製鉄工場で労働者が積まれた熱延コイルのそばを歩いている=デュースブルク/AP・聯合ニュース

 実際、2018年に第1次トランプ政権が課した中国に対する第3次・4次の301条関税に関して、米国の輸入関連企業3500社あまりが「公開意見の聴収過程で出た反対意見を実質的に検討していない」として訴訟を起こした。国際貿易裁判所は手続き上の誤りを認めつつも、関税自体を無効化するのではなく、見直しを命じた。USTRは反対意見に対する追加説明を提供する形で誤りを「治癒(cure)」し、危機を乗り越えた。控訴審の裁判所もこの方式を支持したため関税は維持され、現在は連邦最高裁判所にかけられている。

 しかし、一度関税が課されると、USTRは従来の関税を比較的自由に修正できる裁量権を持つ。判例はこの権限が税率の引き上げと引き下げの両方に適用されるとみなしている。 実際、第1次トランプ政権は2018年の第1次・2次の関税賦課以降、中国の報復措置に対応して第3次・4次の関税を追加で課しており、バイデン政権は同じ301条に基づき2024年に一部の中国製電気自動車の関税を25%から100%に引き上げた。いずれも別途の新たな調査を行わず、既存の調査を基にした延長線上の措置だった。

 通商拡大法232条も類似している。「国家安全保障」を理由に大統領が自ら輸入制限や関税を課せられるようにした条項で、商務長官は調査開始から270日以内に報告し、その後大統領が最終決定を行うが、関税率の上限は存在しない。トランプ政権は第1次政権時代からこの条項を根拠にさまざまな品目に関税を課しており、第2次政権発足後も自動車、鉄鋼、アルミニウムなどに追加関税を適用した。半導体・医薬品分野でも調査が行われている。

ドナルド・トランプ米大統領が20日(現地時間)、米ワシントンのホワイトハウスで記者会見を行っている=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 232条は発動以降の税率調整の自由度が301条よりも大きいとされている。第1次トランプ政権時代、米政府がトルコ製鉄鋼に対する232条関税を25%から50%に引き上げたことに対し、訴訟が起こされた。国際貿易裁判所の一審は関税の修正を違法とみなしたが、二審の連邦巡回控訴裁判所はこれを覆した。連邦最高裁判所は上告を棄却し、この結論を確定した。

 USTRのジェイミソン・グリア代表は22日(現地時間)にメディアとのインタビューで、「大統領の裁量が一部の領域で以前より制約を受ける可能性はあるが、非常に堅固な手段を手に入れたことは確かだ」と述べた。スコット・ベッセント財務長官も「232条と301条の関税は第1次トランプ政権以降に提起された4000件以上の訴訟を耐え抜いた」と述べ、両措置の法的安定性を強調した。関税率の上げ下げで相手国を圧迫し、交渉テーブルに引き出す「トランプ流取引」に、これらの条項が依然として魅力的でありうるとの見方が出ている理由だ。

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1246083.html韓国語原文入力:2026-02-23 15:30
訳H.J

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