「私たちは屈辱のなかで死ぬために、逃げることを拒否する。死は死だ。ここで死のうが別の場所で死のうが同じだ。だから我が家で尊厳を持って死ぬつもりだ」
両親と兄弟姉妹、甥と姪と一緒にパレスチナのガザ地区北部のジャバリアに住んでいるマリアム・アンワドさん(23)は11日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズに、イスラエルのガザ地区北部への空襲を避けて南部に行くことはしないと答えた。イスラエル国防軍(IDF)が南に待避するよう通告した後も、彼らの心は変わらなかった。ニューヨーク・タイムズは、ガザ地区北部に残っている約40万人の大部分がアンワドさんと同じ理由で、または、南部に移動する手段がないため、そのまま留まっていると報じた。パレスチナのワファ通信はこの日の前日である10日夜、イスラエル軍の戦闘爆撃機がジャバリアのマンションを空爆し、少なくとも22人が死亡したと報じた。
国境なき医師団のSNSのXによると、職員5人も北部地域の難民キャンプに閉じ込められている。
先月、レバノンのシーア派組織ヒズボラ掃討を掲げレバノンを絨毯(じゅうたん)爆撃したイスラエル軍は、世界の関心がレバノンに移動した間、ガザ地区に対する攻撃も止めていない。
特に5日、ハマス再建の動きを捉えたとして、ガザ地区北部への空爆を再開した。イスラエル軍がガザ地区北部に対する攻撃を再開してからわずか一週間ほどで、パレスチナ住民220人以上が死亡した。ガザ地区保健省が11日明らかにした。
国連世界食糧計画(WFP)は9日、ガザ地区北部へ向かう主要な援助ルートが閉鎖され、待避命令によって調理場の運営ができず、食糧の分配が困難な状況にあり、この状況が続く場合、100万人が飢餓に直面することになると明らかにした。
CNNの報道によると、WFPは8月には約700台、9月には400台の救援トラックがガザ北部に入ることができたが、今月は1台もガザ北部に入れていないと明らかにした。今月初め、国連人道問題調整事務所(OCHA)も、9月にガザ地区に搬入される物品は3月以降では最も少なかったと明らかにした。
イスラエルがガザ地区北部のパレスチナ人を南部に追いやる戦略を再稼働しているとみる分析が出てきている。英国BBCは、イスラエルの退役高位将校のグループが出した「将軍たちの計画」によると、ガザ北部を「浄化」しようとしていると分析した。
このグループを率いるイスラエルの元国家安全保障顧問のジオラ・アイランド氏はBBCに、「われわれはすでにここ10カ月にわたりガザ北部を包囲しているので、ガザ北部に今も住んでいる住民たちをこの地域から立ち退かせるためには、10日間の時間を与えなければならない」とした。さらに、「その後は全地域が軍事地域になるだろう。パレスチナ人たちには、彼らが戦士であろうが民間人であろうが、降伏するか飢え死にするかの2つの選択肢しかない」と述べた。
イスラエル・メディア「ハーレツ」のジャーナリストのギデオン・レビー氏は、アルジャジーラに「イスラエル政府の目標は、ガザ地区北部のパレスチナ人を全員追放することだと思われる。米国が支援する限り、彼らを阻止することはできない」と明らかにした。レビー氏は「イスラエルがガザ地区北部を『浄化』したいと考えていると思われる。レバノン戦争とイランとの緊張関係に世界が注目しているときに、イスラエルはこれを繰り返している」として、「イスラエルはハマスの軍事力が崩壊したと宣言した。ならばなぜ、それを続けるのか」と付け加えた。
一方、イスラエル軍はユダヤ教の祝日であるヨム・キプール(贖罪の日)にヒズボラがロケットなど300発以上の飛翔体を発射し、イスラエルで3人が負傷したと明らかにした。イスラエル軍はレバノン南部を侵攻する地上戦を継続している。イスラエル軍はレバノン南部でヒズボラと交戦し、この地域に駐留している国連平和維持軍(UNIFIL)が負傷する事態も頻発している。11日夜にはレバノン南部のナクラ基地の近くで国連平和維持軍の隊員1人が銃弾を受け、手術を受けるなど、少なくとも5人が負傷した。イスラエル軍は国連平和維持軍に駐屯地の再調整という事実上の撤収を要求しているが、国連平和維持軍は拒否している。