本文に移動

プーチン大統領訪中の理由…米・欧州制裁の「隙間」で、中ロ貿易は2年間に63%増

登録:2024-05-17 05:59 修正:2024-05-17 06:27
中国、ウクライナ制裁による「ロシアの経済的空白」埋める 
米国「中国の対ロ輸出品の軍事転用」を理由に制裁推進
中国の習近平国家主席(左)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)が16日、中国北京で一緒に歩きながら儀仗隊を査閲している=北京/AP・聯合ニュース

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が政権5期目の発足から9日後に中国を訪れた背景には、2022年2月のウクライナ戦争勃発後、さらに大きくなった中国に対する経済的依存がある。

 中国とロシアは、ウクライナ戦争後の2年間で貿易額が60%以上増加するほど、経済協力に拍車をかけている。米国やドイツ、フランスなど西側諸国の制裁で生じたロシアの経済的空白を中国が埋めたわけだ。米国は中国の対ロ輸出品の多くが軍事転用されていると主張し、これを阻止するための措置を進めている。

 中ロ間の貿易額は、戦争前の2021年の1468億ドルから昨年は2401億ドルへと、2年間で63.5%増加した。中国税関当局である海関総署の資料によると、特に中国からロシアへの輸出が急増した。昨年、中国の対ロ輸出は前年より46.9%増加し、輸入は12.7%増加した。中国は自動車やスマートフォン、パソコンなどの電子製品や、工業装備、特殊設備などを輸出し、ロシアから石油と天然ガス、石炭、銅、木材などの原材料や海産物などを主に輸入している。中国がロシアに生活必需品と工業製品などを輸出し、ロシアからエネルギーと原材料などを輸入する構造だ。

 両国間のエネルギー交易の増加も目立つ。昨年、中国はロシアから前年比24%増の1700万トンの原油を輸入した。昨年、ロシアはサウジアラビアを抜いて中国に最も多い原油を輸出する国になった。中国は2019年に完工したガス輸送管「シベリアの力」を通じてロシア産ガスの供給を受けているが、これを拡張する「シベリアの力2」の建設も進めている。プーチン大統領は16日の首脳会談で「昨年、ロシアは中国の4大貿易国になった」とし、「昨年3月の習主席のモスクワ訪問以後、2030年までの両国の経済協力の主要領域発展計画を承認したことが直接的な役割を果たした」と評価した。

 ロシアはウクライナ侵攻後、インドにも原油を販売するなど、西側の経済制裁に参加しない国々との交易を増やしてきたが、中国が占める割合は他の諸国とは比べ物にならない。ロシアの国内総生産(GDP)は戦争初年度の2022年には-1.2%のマイナス成長だったが、昨年は3.6%でプラスに転じた。その背景にはロシア内部の軍需物資生産拡大などと共に、中国との貿易拡大がある。

 米国は、中ロ貿易の拡大をウクライナ戦争の長期化の主な原因とみて、これを阻止しようとしている。特に最近になって米国は、電子製品に含まれる半導体チップや航空機部品、工作機械などが軍事用途に転換されうる二重用途製品だとし、ロシアに輸出しないよう中国に求めている。

 アントニー・ブリンケン米国務長官は先月末、中国を訪問した際、「これら(中国の部品)はさらに多くの弾薬と戦車、装甲車、ミサイル作りに向けたロシアの努力を支援する役割を果たした」とし、「このような取引を中断しない場合、(中国に対して)取るべき措置を準備している」と述べた。これと関連し、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米政府がロシアとの貿易取引を支援する中国銀行をグローバル金融システムで遮断する制裁を検討していると報じた。こうした影響で、今年3~4月の中国の対ロ輸出は年初めの急増から減少に転じた。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1140844.html韓国語原文入力:2024-05-16 21:05
訳H.J

関連記事