世界の主要半導体企業が相次いで暗い見通しを示している。米国が中国に対する輸出規制を強化し、人工知能(AI)需要には暗雲が立ち込めるなど、政治・経済的な悪材料が襲ってきたためだ。半導体景気の行方が霧に包まれたことで、市場も大きく動揺している。
9日、米国の総合半導体企業インテルが出した随時報告書によると、米商務省は7日、インテルに消費者関連品目の対中輸出に対する特定免許を取り消すと通知した。商務省の通知の効力はすぐに発生したと、同社は説明した。インテルはこれまで、中国のファーウェイ(華為技術)にノート型パソコン用半導体などを供給してきた。先月、ファーウェイはインテルの最新製品の中で最高仕様の「コアウルトラ9」プロセッサーが自社のAIノートパソコンに搭載されると発表した。
インテルの売上げは、直ちに第2四半期から輸出規制の影響を受ける見通しだ。インテルは今年第2四半期(4~6月)の売上見通しを125億~135億ドルから125億~130億ドルに下方修正すると発表した。第1四半期(127億2400万ドル)の同程度にとどまるという意味だ。これに先立ち、インテルは昨年の売上のうち6%が対中輸出規制の影響圏にあり、今後この数字はさらに大きくなるという見通しを示した。インテルの売上で中国が占める割合は昨年基準で27%に達する。
モバイル半導体大手の英国の半導体設計企業アーム(ARM)も、市場の期待に背く結果を出した。アームは8日(現地時間)、2024会計年度の第4四半期(1~3月)に売上9億2800万ドル、営業利益2200万ドルを記録したと発表した。自社見通しをかなり上回る実績だが、市場は今後1年の見通しにさらに注目した。アームは2025会計年度に売上38億~41億ドルを達成すると見通した。会社見通しの中間値(39億5000万ドル)は、ブルームバーグが集計したアナリスト見通しの平均(40億1000万ドル)より少ない。
市場ではテック業界のAI関連の支出増加傾向が緩やかになるというシグナルとみている。アームの成長にAIが密接にかかわっているためだ。アームはAIの発達により高性能・低電力演算に対する需要が増加し、新型アーキテクチャ「Armv9」の売上が急速に増えていると説明してきた。
半導体景気を巡る不確実性はさらに高まっている。米中紛争とAI産業いずれもこれからの方向性を予測するのが難しい状況だ。ジーナ・レモンド米商務長官は8日、議会に出席し「ファーウェイは脅威となる存在であり、われわれはAIに焦点を置いている」とし、「必要な場合、既存の(輸出)免許も取り消すなど圧力を加えている」と述べた。さらなる免許取り消しも排除できないという意味とみられる。同様に、ファーウェイに半導体を供給してきた米国企業クアルコムは今のところ免許取り消しの事実のほかは、売上への影響などについては言及していない。
市場も動揺している。8日(現地時間)のニューヨーク証券市場におけるインテルの終値は前日より2.2%低い30ドルだった。取引終了後に実績を発表したアームは、時間外取引で当日の正規取引の終値より9.0%下がった96.56ドルを記録した。