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中国の外交専門家「尹政権、米-中のどちらかを選ぶべきではない」(1)

登録:2024-05-15 06:10 修正:2024-05-15 07:27
[インタビュー]賈慶国北京大学教授・中国政協常務委員
「峨山プラナム2024」に出席するため韓国を訪れた北京大学の賈慶国教授が14日午前、ソウルのグランドハイアットソウルでハンギョレのインタビューに応じている=峨山政策研究所提供//ハンギョレ新聞社

 米中対立が激化し、国際情勢が変化する中、韓中関係はどのように再確立されるだろうか。

 中国の代表的な外交専門家の一人である北京大学国際関係学部の賈慶国教授は、韓国が明らかに米国側に立ったりしない限り、経済関係などで協力できる余地が少なくないと強調した。韓中関係が悪化したが、13日に北京で韓中外相会談が開かれたことは「良いニュース」だと賈教授は語った。そして、米中が北朝鮮核問題において協力することは難しくなったが、今の状況で中国が北朝鮮の核開発を支持したり、朝中ロの3者協力構図に進むようなことはないだろうとの見通しを示した。ただし、中国は台湾問題において、韓国が介入せずに一歩離れていることを期待すると話した。台湾問題が韓中関係のカギになると指摘したのだ。

 ハンギョレは14日、牙山政策研究所主催で開かれた「峨山プレナム2024」に出席するためにソウルを訪れた賈教授に会い、韓中関係と米中関係全般について話を聞いた。賈教授は中国の諮問機関である人民政治協商会議(政協)の常務委員でもある。

―韓中関係悪化の原因を何だと考えるか。チョ・テヨル外交部長官と中国の王毅外相の韓中外相会談が関係改善の突破口になると思うか。

 「韓中関係の悪化には様々な要因がある。その中の一つは、韓国政府がおそらく米国の圧力のためだと思うが、様々なイシューで米国の側に立ったことだ。特に、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は台湾問題について非常に挑発的な態度を取った。台湾問題は中国の核心利益に関わる問題だ。韓国の国内政治も影響を及ぼしたと思う。(ケイ海明)駐韓中国大使が韓国の野党政治指導者(共に民主党のイ・ジェミョン代表)と面会した際の発言がマスコミによって歪曲され、韓国政府がこれに対して非常に強く反応した。今回、韓国の外相が北京を訪問して外相会談を行ったことは、韓中関係にとって良いニュースだと思う」

―今回の会談後の中国外交部の発表は、韓国が「一つの中国原則」を遵守しなければならないという王毅外相の発言を強調するものだった。中国は韓中関係改善の条件として、台湾問題について韓国に具体的な要求をしているのか。

 「韓国政府は長い間、『一つの中国』と台湾は中国の一部という政策を維持してきた。中国は、韓国の現政権もこの政策を維持することを期待している。米国が韓国に(台湾海峡で武力衝突が発生した際)韓国内基地を使用できる軍事的支援を要請するなら、中国は韓国がこの事案に対して介入せず、一歩離れて火が韓国に燃え移らないようにすることを期待する。韓国が台湾問題に介入しない方が韓国の利益にも合致するというのが中国の立場だ」

―韓米同盟と北朝鮮核問題の悪化などの現実を考えると、米中の対立が悪化し、北東アジアで緊張が高まるほど、韓国が完全に中立を維持するのは容易ではない。

 「米中両国のうちどちらを選ぶべきかは、韓国が決めることだと思う。しかし、私が韓国政府に諮問する立場にあるなら、『どちらか一方を選ぶな』と言うだろう。それは非常に危険だからだ。(韓国が米国を選んだら)中国を当惑させるだろうし、韓中の経済関係が緊密な状況では韓国の繁栄に悪影響を及ぼす結果になるだろう。私が韓国政府の立場なら、中立的な立場を取るよう努力する。韓中両国は(台湾問題のほかにも)多くの問題で共同の利益を持っており、協力できる。経済問題について利益を共有しており、人的交流、技術協力などで互いに協力することが韓中両国にとって有利だ。韓国が米国と安保協力を強化してはならないという話ではない。だが、安保利益を強化する際、中国に被害を与える形になってはならないということだ。韓国がどちらか一方を選択するのではなく、米国と中国が韓国の安保問題の解決に協力するようにした方が韓国にとって利益だと思う」

―北朝鮮とロシアが非常に密接に協力している。中国は、朝ロ協力をどう評価するのか。米国と中国の緊張が高まる中、中国は北朝鮮やロシアと引き続き協力を強化すると思うか。

 「北朝鮮とロシアの協力は、彼らの共通の利益のためだ。それは彼らのことであり彼らの選択だと、中国は思っている。ウクライナ戦争に対する中国の立場は中立であり、どちらも公には支持していない。中国とロシア、中国と北朝鮮の二国間協力はあっても、朝中ロの三者協力はしない」

―北朝鮮の核ミサイル技術が大幅に向上している。北朝鮮は韓国との統一方針を廃棄し、戦術核兵器で韓国を威嚇する訓練も続けている。中国が、韓国と北朝鮮核問題の解決に向けて協力する意志と余地はあると考えるか。

 「中国は核(兵器)の拡散を望んでおらず、拡散を防止することが中国の利益にも合致する。中国は過去に6カ国協議などで韓国と協力し、北朝鮮が核兵器開発をしないよう説得に取り組んできた。この点では、中国の立場は変わっていない。むろん、北朝鮮に核兵器を放棄させるための方法について、米国は北朝鮮を強く追い込むべきだと考える一方、中国は北朝鮮を説得すべきだと考えている。私はこの二つの方法を組み合わせるべきだと思うが、今のところ、中国と米国の関係が非常に悪いため、協力することは難しい。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長はこのような変化を利用している。彼はとても賢い」

―北朝鮮の非核化は今でも可能だと考えるか。中国内で北朝鮮側の立場を支持する声が高まっているようにみえる。

 「非核化が不可能だとは言わないようにしよう。可能性はあると思う。そのためには、関係国がさらに協力しなければならない。中国に対する米国の圧力が強まる状況で、中国内で北朝鮮に友好的な流れが強くなっているのは事実だ。中国の一部の人々は(北朝鮮の核解決と関連し)米国と協力してはならないと考えている。これは金正恩国務委員長にとって非常に有利だ。そのため、韓国は米国が中国に対してより理性的で実用的な政策を取るよう説得する必要がある」

―金正恩委員長は、中国、ロシアの支援を受けて制裁を迂回し、経済、軍事的支援を受けようとしている。

 「中国は一貫して国連の対北朝鮮制裁を履行している。(ところが)中国が現在の国際システムで役割を剥奪された場合は、何が起こるか分からない。中国は依然として現存する国際システムの利害関係者(stakeholder)であり、中国は核不拡散体制をはじめとする現存する秩序から多くの利益を得ている。そのため、中国は非拡散体制を守るために努力するだろう。北朝鮮の核開発を中国が支持するとは思わない」

(2につづく)

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1140535.html韓国語原文入力:2024-05-14 17:14
訳H.J

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