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ゾウ・ラクダ・ヤクが投票用紙を運搬…有権者9億人のインド総選挙、19日開始

登録:2024-04-19 07:45 修正:2024-04-19 09:17
ヒマラヤの海抜4650メートルの村 
「世界で最も高い投票所」 
世界第1位、有権者9億人以上
インドのベンガルのアジアゾウ=アリアナ・ソラナ=ミナ氏提供//ハンギョレ新聞社

 世界最大規模のインドの「ロク・サブハ」(Lok Sabha・インド下院)の総選挙が19日に始まる。昨年に中国を抜いて世界最多の人口大国(約14億2800万人)になったインドの選挙の規模も世界最大だ。投票日だけで44日間、3カ月(4~6月)にわたり行われるなど、単一国家としては比較対象がほとんどない規模の選挙戦が繰り広げられる。

 なにより、今回の選挙の有権者だけで9億6800人に達する。有権者3億4000万人の米国と、ブラジル(2億1600万人)、ロシア(1億4400万人)、日本(1億2300人)、英国(6800万人)、フランス(6500万人)の6カ国の有権者を合計した数よりも多い。男性有権者は4億9000万人、女性有権者は4億7000万人、今回の総選挙で初めて選挙に参加する青少年有権者は1800万人に達する。有権者がきわめて多く、一度に投票をすることが難しいため、インド全域を7つの区域に分けた後、区域ごとに選挙日を個別に指定している。

 インド全体の面積は朝鮮半島の14倍を超える328万7200平方キロメートルに達するが、インドの選挙規定では、すべての家庭から2キロメートルの距離で投票できるよう定められている。選挙管理委員会は、全国100万カ所を超える投票所に550万台の電子開票機を設置する。選挙管理者とボランティアのメンバーが、ラクダ、ラバ、ヤク、ゾウなど、投票地域に応じて必要なすべての手段を動員し、人里離れた地域にまで投票用紙を運ばなければならないという意味だ。投票所は、雪に覆われたヒマラヤ山脈から、ラジャスタンの西部砂漠、インド洋の小さな島にまで設置される。選挙管理員と保安要員だけで1500万人が動員される。ヒマラヤ山脈の真ん中にある海抜4650メートルのヒマチャル・プラデシュのある村に設置された投票所は「世界で最も高い投票所」だ。BBCは「前回の2019年の総選挙では、北東部のアルナチャル・プラデシュ州のある一人暮らしの有権者が投票権を行使できるよう、2日間かけて5人の公務員がバスと徒歩で移動したこともある」として、「インド選挙管理委員会の『すべての有権者が重要だ』という言葉は、単なるスローガンではない」と報じた。インドのある研究機関は、今回の選挙費用として144億ドル(約2兆2000億円)が必要とされるだろうという予想を示した。選挙開票は1カ月半後の6月4日に始まる。

17日、インドのムンバイで通行人がインド総選挙での投票を促すポスターの前を通り過ぎている/AFP・聯合ニュース

 今回の選挙には、6つの全国政党と57の州の地域政党をはじめ、2597の小政党が参加する。与党インド人民党を率いるナレンドラ・モディ現首相が、ネルー初代首相に続きインド史上2人目となる「首相3期目」に挑戦している。2019年の総選挙では、モディ首相のインド人民党が303席を確保する圧勝をおさめた。

 インド人民党とモディ首相は、人口の80%を占めるヒンズー教徒の投票者の関心を集中的に攻略してきた。また、インド経済は、モディ首相が政権を握った2014年から10年間で、年平均の成長率が7%に達する高成長を繰り返してきた。インド現地の世論調査会社などによると、インド人民党は単独で340議席以上、親与党派の政党と連合した場合は390議席以上を得るだろうという予想が出ている。モディ首相は「現在は中間所得水準であるインドを先進国の経済に引き上げるためには、インド人民党が率いる与党連合(国民民主同盟)の圧勝が必須」だと強調している。

 一方、主に中道左派政党で構成される野党連合は、モディ首相の「独善的なふるまい」を攻撃し、ヒンズー教中心の政策や疎外された地域社会について批判し、若者の雇用創出などを強調している。インドの女性運動家であるサイダ・ハメド氏は、ドイツの公共放送局「ドイチェ・ヴェレ」(DW)のインタビューで、「インド人民党が再び政権を握ることになれば、憲法が改悪され抑圧的な社会の雰囲気がさらに悪化することになる可能性があることが、私たちの明らかな恐れの一つ」だと懸念を表した。しかし、世論調査会社などは、主な野党であるインド国民会議の予想議席数を50議席以下と予想している。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1137105.html韓国語原文入力:2024-04-18 10:36
訳M.S

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