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「日本、人口8千万を維持できなければ、社会保障制度が破綻」

登録:2024-01-11 00:21 修正:2024-01-11 06:52
民間の有識者らによる「人口戦略会議」首相に提言  
人口減少の緩和・成長のために構造改革が必要
日本の首都圏にある幼稚園の様子=ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 日本の民間の有識者たちが、社会保障制度を維持するためには出生率を引き上げ、2100年にも人口を8千万人に維持しなければならないという目標を示した。今より人口が約37%減少するが、これを通じて経済成長ができる社会体制も作らなければならないと主張した。

 日本製鉄の三村明夫名誉会長が議長、増田寛也元総務相が副議長を務める「人口戦略会議」は9日、「人口ビジョン2100」という報告書を発表し、少子化対策などを積極的に実施し、76年後の2100年には人口8000万人、高齢化率(総人口に65歳以上が占める割合)30%で日本の人口構造を安定化させるべきだと提言した。2014年に「地方消滅」問題を取り上げたいわゆる「益田レポート」で日本社会を衝撃に陥れた益田副議長はこの日の記者会見で、「2100年に8千万人を達成できなければ、社会保障が完全に破綻する。地域のインフラの維持も難しくなるだろう」と述べた。

 戦略会議は、日本の未来のためには第1に出生率を引き上げて「8千万人国家」を維持しなければならず、第2に現在より小さい人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築しなければならないと強調した。

 これに先立ち、日本の国立社会保障・人口問題研究所は、2100年の日本の人口は現在のおよそ半分の6300万人にまで減少すると予想している。報告書は、人口8000万人を守るためには、現在1.26人にまで下がった出生率を2040年1.6人、2050年1.8人、2060年までに2.07人にまで引き上げる必要があると提言した。そうしてこそ76年以内に見通しよりも1700万人多い人口が達成できるということだ。現在、日本の人口は1億2424万人で、高齢化率は世界で最も高い29.1%だ。

民間の有識者らで構成された「人口戦略会議」議長の三村明夫日本製鉄名誉会長が9日、日本の人口減少を緩和させるための提言が盛り込まれた「人口ビジョン2100」を岸田文雄首相に提出している=首相官邸ホームページより//ハンギョレ新聞社

 この目標を達成するためには、結婚と出産の意思のある若者たちのために、所得向上、非正規雇用の正規化などを通じて質の良い雇用を提供することが最も重要だと強調した。総合的な育児支援制度の構築も急がれると指摘した。内閣府の2020年の調査では、「日本はこどもを生み育てやすい国だと思うか」という問いに対し、「そう思う」と答えたのは38%のみだった。フランス(82%)やドイツ(77%)など他の先進国と比べると差が大きい。

 2番目の課題である成長力のある社会の構築を実現するためには、女性の就職拡大、生産性の低い企業、産業、地域の構造改革、教育の質の向上などが必要だと強調した。また、人口増加や単純労働者の補充を目的とする移民政策は限界があるとし、日本にいる永定住外国人との共生にも言及した。戦略会議は政策の実効性を高めるため、内閣に「人口戦略推進本部(仮称)」の設置と「勧告権」を有する首相直属の審議会、各界各層の意見を聞く国民会議の設置も提言した。

 この日発表された提言は中間報告の性格であり、年末に最終報告書が出る予定だ。三村議長は9日、岸田文雄首相に中間報告書を自ら提出した。岸田首相は「官民で連携して社会の意識改革に取り組んでいきたい」と答えた。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1123795.html韓国語原文入力:2024-01-10 15:51
訳H.J

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