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イスラエルの爆撃で一家70人が惨事…3日間で500人がまた死亡

登録:2023-12-25 06:14 修正:2023-12-25 07:22
米国「休戦求めない」
23日(現地時間)、パレスチナのヨルダン西岸地区のベツレヘムのメンジャー広場で、女性と子どもが戦争犠牲者を追悼するため、ろうそくに火を灯している/AP・聯合ニュース

 クリスマス前夜を翌日に控えた23日(現地時間)、パレスチナのヨルダン西岸地区のベツレヘムの街には寂しさが漂っていた。英国のフィナンシャル・タイムズなど海外メディアは、2023年前にイエスが誕生したベツレヘムの「聖誕教会」さえ足の踏み場もないほど混みあっていた昨年とは異なり、今年はがらんとした廊下にぽつんとろうそくだけが火を灯していると報じた。教会の隣の「メンジャー(馬小屋)広場」では、毎年大型ツリーが輝いていたが、今年はこれといったクリスマスの装飾もなく、寂しい姿だった。民間救護団体の「カリタスエルサレム」のアントン・アスファル事務局長は同紙に「クリスマスの時には両親、子ども、孫たちと一緒に集まったが、今年はそのような気持ちになれない」とし、「聖なる空間でクリスマスの精神が消えているというのが心配だ」と語った。

 イスラエル国防軍(IDF)はクリスマス前夜を翌日に控えた同日も、ガザ地区への攻撃を繰り返した。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は同日のブリーフィングで、「ここ数日間の作戦で多くのハマスの武装隊員を除去し、テロ活動に使われた多くの建物と兵器も破壊した」とし、「13トンの爆発物を使って30余りのトンネルを同時に爆破した」と述べた。その過程で新たに多くの人が死亡した。パレスチナ中央統計局(PCBS)は、開戦後23日までの間にガザ地区で死亡した人は、この3日間で500人以上増えた2万561人だと発表した。

 このうち、国連開発計画(UNDP)で約30年間パレスチナ国民支援プログラムに取り組んできたイサム・ムグラビさんと妻、子ども5人を含む大家族70人が全員死亡したことが分かり、悲しみを深めた。パレスチナは土地が狭く、経済事情が厳しいため、数代にわたって多くの兄弟が共に暮らす場合が多い。UNDPは同日、声明を出し「国連とガザ地区の民間人は攻撃対象ではない。この戦争は終わらなければならない」と哀悼の意を表した。

 一方、民間人の被害を減らそうとする国際社会の努力は空回りしている。国連安保理は22日、ガザ戦争と関連した会議を開き、「即時に敵対行為の中止」(urgent suspension of hostilities)という文言が抜けた決議案(第2720号)を採択した。当初、アラブ首長国連邦が作成した決議案にはこの内容が含まれていたが、米国がこの文言の入った場合は拒否権を行使するという意思を曲げず難航した。結局、決議案は18日に提出されてから3日間も文言の修正を重ねた末、ガザ地区状況に対する「重大な懸念」と共に、大規模な人道支援の許容と促進▽民間人の保護▽無条件での人質解放▽救援物品の監視と配布を担当する国連調整官の任命などの要求だけが盛り込まれた。米国とロシアが同案に対してそれぞれ棄権した中、残りの理事国の賛成で可決された。ガザ地区で直ちに休戦が行われるべきだという国際社会の世論に、米国が再び単独で対抗し、イスラエル側に立ったわけだ。

 国境なき医師団は「最終決議案は、ガザ地区の民間人の生活に及ぼす影響がほとんど無意味なほど内容が薄くなった」とし、「米国政府がガザ地区に対して安保理が目指す効果的措置を妨げている」と強く批判した。イスラエルとハマスも安保理決議案に反発した。イスラエルは「決議案は不要であり、国連が紛争に肯定的な役割を果たせないことを証明したもの」だと主張した。ハマスも「米国が決議案の本質を取り除き、中身を伴わないものにするために努力した結果」だと非難した。

 決議案が可決された翌日の23日、米国のジョー・バイデン大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は電話で意見を交わした。ホワイトハウスはこの電話会談の事実を知らせる資料で、バイデン大統領が「民間人を保護しなければならない重大な必要性を強調した」と明らかにした。しかし、イスラエル首相室は別途の資料で、ネタニヤフ首相が「戦争の目的を達成するまでイスラエルが戦争を続けるという意思を明確にした」と伝えた。

 一方的にイスラエル側に立つバイデン大統領の態度は、来年11月に行われる大統領選挙に不利に働く見通しだ。ニューヨーク・タイムズ紙が21日に公開した世論調査の結果によると、バイデン大統領がイスラエルとハマスの戦争にきちんと対処していると思うかという質問に、回答者の57%が否定的に答えた。誰がこの問題を解決するのにもっと頼もしいのかという質問にもドナルド・トランプ前大統領を挙げた回答者数(46%)がバイデン大統領(38%)を支持した回答者数を上回った。同紙は「伝統的に民主党支持率の高い18~29才の有権者が多数離脱した」とし、「このうち4分の3がガザ地区紛争に対するバイデン大統領の対処に反対している」と批判した。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1121624.html韓国語原文入力:2023-12-25 02:31
訳H.J

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