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米情報アナリスト「ハマスの影響力、むしろ拡大」

登録:2023-12-23 08:11 修正:2023-12-23 11:15
21日、ガザ地区南側のラファの近くでパレスチナ住民たちが食事の配給を受けるため先を争って器を差しだしている/AP・聯合ニュース

 イスラエルとパレスチナのガザ地区を実行支配する武装組織ハマスによる戦争以降、中東各地でハマスに対する信頼度と影響力がむしろ強まっていると分析された。

 21日(現地時間)、米国CNNは「アラブにおいて、ハマスがパレスチナの大義の守護者であり、イスラエルに対抗する闘士という肯定的な位置づけを確保しているという情報機関の警告が出ている」と報じた。ハマスは10月7日にイスラエルを奇襲攻撃して1200人あまりを殺害し、240人あまりを人質にした。これに対してイスラエルは戦争を宣言し、ハマスが統治するガザ地区への攻撃に着手した。イスラエル軍の空爆と地上軍による攻撃で人口220万人あまりのガザ地区では2万人を超える死者が生じる悲劇が続いている。

 しかしハマスは、イスラエルを奇襲攻撃したことは驚くべき軍事的成功であり、先月末の一時停戦の際にイスラエル人の人質を一部解放したことでイスラエルの監獄に収容されていたパレスチナ人を釈放させたことも、自分たちが得た成果とみなしている。

 アラブ諸国の各地ではハマスを支持するデモが広がっており、アラブのSNSではハマスを道徳的な戦士と描写する宣伝動画が拡散していると、CNNは報じた。また、14日にドイツやオランダ、デンマークなどでユダヤ人を対象とするテロ作戦を行ったハマスのメンバー4人が逮捕されるなど、ハマスは欧州にまで影響力を広げようとしている。

 米政府高官はこの日、CNNに「ハマスは(戦争前までは)さほど人気のある組織ではなかったが、今では人気が高まった」と評した。ハマスは、ガザ地区内部よりも、穏健派のパレスチナ自治政府の無能さに失望したヨルダン川西岸地区で人気が上がっているという分析もある。調査機関「研究と開発のためのアラブ世界」(Arab World for Research & Development=AWRAD)が10月31日から1週間、ヨルダン川西岸地区とガザ地区でパレスチナ人を対象に実施した世論調査では、「10月7日の奇襲攻撃を支持するか」という質問に対する肯定な回答率が、西岸地区では68%、ガザ地区は47%となった。「パレスチナ政策調査研究センター」(PCPSR)の世論調査によると、西岸地区でのハマスに対する支持は、9月の12%から12月は44%とわずか3カ月で約4倍近く増加した。中東地域の情報専門家であるジョナサン・パニコフ氏はCNNに「西岸地区でハマスは、イスラエルによる占領に対して実際に行動を起こす唯一の団体だとますます思われている」と述べた。

 現在、米国の情報アナリストらは、今回の戦争が、パレスチナのガザ地区とヨルダン川西岸地区、さらにはアラブとイスラム世界の世論にどのような影響を及ぼすのかに注目している。CNNによると、米国の対テロ当局者は、ハマスの支持率上昇が他のテロ組織に動機を与えるのではないかと強く懸念している。民間人の犠牲者が多数発生しており、米国内からも、今回の戦争は世論戦で敗れる可能性があるという懸念が出ている。今月初めにロイド・オースティン国防長官は、「こうした種類の戦いでの重心は民間人」だとし「人々を敵(ハマス)のなかに追い詰めると、『戦術的勝利』が『戦略的敗北』に変わる可能性がある」と警告した。

 一方、国連の安全保障理事会は22日、ガザ地区への人道支援の拡大を求める決議案に対する表決を再度延期した。AFP通信が同日報じた。これに先立ち、8日に国連安保理は、ガザ地区における即時休戦と人道支援を求める決議案を表決したが、15カ国のうち米国が拒否権を行使し、採択は失敗に終わった。その後、安保理は米国の拒否権を避ける文面を探りながら交渉を継続し、一部の文言を修正した新たな決議案を21日に再表決する予定だったが、結局延期となった。理由は、一部の理事国がガザ地区に対する人道支援を増やすことに対する文言が縮小されたことに不満を示したためだと分かった。

キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1121483.html韓国語原文入力:2023-12-22 18:39
訳M.S

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