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窮地に立たされたゼレンスキー大統領、「軍が50万人を追加要請…資金調達はいかに」

登録:2023-12-22 06:42 修正:2023-12-22 08:10
米・EUの支援が行き詰まり、国際社会の関心も薄れる
ウクライナ軍が20日、ドネツク地域で独自に作ったロケット砲を発射している/EPA・聯合ニュース

 「毎日、我が軍の戦士たちに変わらぬ感謝の意を伝える。国を守るために戦っている人々に、訓練をしている人々に、命を救って治療している人々に、必要な武器を製造している人々に…。我々は必ず国と主権を守る」

 来年には勃発から3年目を迎えるロシアとの戦争で、窮地に追い込まれているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が20日、再び勝利への決意を固める国民向け演説を行った。昨年2月末に始まった戦争の長期化に伴い、国際社会の関心と支援が薄れ、国民の負担は大きくなる状況を突破しようとする意志を示したのだ。ウクライナは6月初め、ロシアの南東部占領地を2つに分割するため、大々的な反転攻勢を始めたが、目立った成果を上げられていない。さらに10月初めにガザ戦争が始まり、国際社会の関心は全て中東に注がれている。

 ウクライナを最も当惑させる変化は、国際社会の支援熱気が冷めたことだ。米上院のチャック・シューマー民主党院内総務とミッチ・マコネル共和党院内総務は19日、ウクライナへの追加支援が含まれた予算案について「上院の来年の早い行動を希望する」という内容の共同声明を発表した。ジョー・バイデン大統領が10月20日に議会に提出したウクライナ支援予算614億ドル(約8兆7400万円)を含む計1059億ドル(約15兆円)規模の緊急支援予算の今年中の処理を諦めるという宣言だった。

 欧州連合(EU)がウクライナに支援するため策定した500億ユーロ(約7兆8300万円)規模の支援予算も、14日にハンガリーの反対で阻まれた。欧州連合の予算案の決定には加盟国の満場一致の賛成が必要だ。ドイツのキール世界経済研究所の集計によると、今年8~10月の間にウクライナに対する世界各国の新規支援は戦争が勃発して以来最低水準に落ちた。反転攻勢を率いるウクライナ軍のオレクサンドル・タルナウスキー准将は18日、ロイター通信とのインタビューで「すべての戦線」で砲弾が不足しているとし、「一部の地域では我々は防衛に転じている」と語った。

 これに比べ、ロシアは戦時経済への移行に拍車をかけている。英国のBBCは西側当局者の話として、来年ロシアの予算の40%ほどが国防・安保分野に配分される見通しだと報じた。ロシアは昨年末、1カ月に長距離ミサイル約40発を生産できたが、今は西側の経済制裁にもかかわらず、1カ月で100発余りを生産できるほど生産能力を拡大したものと推定される。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日に開かれた国防総省会議で、ウクライナとの戦争と関連して、ロシア軍が「主導権を握っている」とし、「特別軍事作戦(ウクライナ侵攻)の目標を放棄する考えはない」と述べた。

 これに対抗し、ゼレンスキー大統領は19日、場所と時間は非公開で行った国内外メディアとの記者会見で、兵力50万人を追加動員する可能性を示唆した。ゼレンスキー大統領は「彼ら(軍首脳部)が45万~50万人の追加動員を提案した。私はもっと多くの討論が必要だと答えた」と語った。ウクライナ軍兵力は現在100万人程度だが、半分近く増員するという話だ。ゼレンスキー大統領は、追加動員にかかる費用も5000億フリブナ(約1兆9千億円)に及ぶとし、「どこからその金をねん出するのか、首相と財務長官に答えを聞きたい」と述べた。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1121363.html韓国語原文入力:2023-12-22 02:32
訳H.J

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