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死亡2万人のうち74%が子どもと女性…流血の止まらないガザ地区

登録:2023-12-23 06:56 修正:2024-01-06 09:24
イスラエル「一時的な戦闘中止」ハマス「永久休戦」 
互いの隔たり大きく、第2次休戦の見通しは暗い
イスラエルの爆撃で死亡したガザ地区住民の親戚たちが21日(現地時間)、南部ラファのある病院で悲しみに包まれている=ラファ/AP・聯合ニュース

 ガザ戦争が始まって74日で、イスラエル国防軍(IDF)の無差別攻撃で死亡したパレスチナ人が2万人を超えた。死亡者のうち、女性と子ども、高齢者の割合が70%を上回っており、イスラエルに向けた国際社会の非難の声が高まるものとみられる。

 幸いイスラエルとハマス間の交渉が始まったものとみられるが、休戦方式をめぐる隔たりがあまりにも大きく、早期に合意に達するのは難しい見通しだ。

 パレスチナ中央統計局(PCBS)は20日(現地時間)、10月7日にガザ地区で戦争が始まって以来、死亡者が2万人を超えたと発表した。ガザ地区全体の人口230万人のうち1%が今回の戦争によって死亡したわけだ。

 しかも死亡者の74%は子ども(8000人)や女性(6200人)、高齢者(682人)などの弱者だった。また6700人に及ぶ行方不明者のうち女性や子どもは4700人だという。彼らの多くがイスラエル軍の無差別攻撃によって倒壊した建物の下敷きになっているものと推定されており、実際の死亡者数は同日の集計よりさらに多いものとみられる。負傷者は死亡者より2.6倍多い5万2586人だった。

21日(現地時間)、ガザ地区南部のラファで、女性たちがイスラエルの爆撃後に親戚が下敷きになったとみられる建物の近くで泣いている=ラファ/AFP・聯合ニュース

 国連人道問題調整事務所(OCHA)も同日に公開した「ガザ地区とイスラエル内の敵対行為74日目の報告書」で、「ガザ地区全域でイスラエル軍による陸・海・空の三面における砲撃と激しい地上戦が繰り広げられており、ハマスのロケット発射も続いている」とし、「前日、ガザ市の5階建ての建物が襲撃され、100人以上が死亡し、50人が倒壊した建物の残骸の下敷きになり行方不明になった」と明らかにした。実際、ガザ地区保健省部が同日に集計した地域内の一日死亡者数によると、19日の一日だけで300人を超える住民が死亡した。

 イスラエルは2007年にハマスがガザ地区を占領して以来、継続して武力紛争を繰り広げてきたが、短期間でこれほど多くの人々が犠牲になったことはなかった。OCHAの統計によると、2008年から今回の戦争直前までの15年間にわたる紛争過程で亡くなった人は6589人だった。2カ月ほど続いた戦争で死亡した人の数が15年間の死者数の3倍に達したわけだ。

19日(現地時間)、パレスチナのガザ地区南部のラファでイスラエル軍の空爆により倒壊した住宅の近くで、救助隊員と住民が死傷者を捜索している/ロイター聯合ニュース

 昨年2月から1年10カ月にわたり全面戦争を繰り広げているウクライナとロシアの戦争と比べても、ガザ地区内の人命被害は深刻な水準だ。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は9月現在まで、ウクライナ戦争における民間人死亡者は9701人、負傷者は1万7748人だったと集計した。

 国際社会はガザ地区の悲劇に歯止めをかけられずにいる。国連安保理は10月16日、ロシアが出した決議案を皮切りに、6回にわたりイスラエルとハマスの即時休戦または一時的な戦闘中止を骨子とする決議案を提出した。

 しかし、米国がイスラエルの自衛権を認めなければならないとして拒否権を乱発しており、理事会を通過したのは、先月15日にマルタが一時的な戦闘中止を求めて提出した1件だけだった。同決議案が出た後、イスラエルは11月24日から12月1日まで続いた7日間の一時的な戦闘中止に合意した。一方、米国が出した決議案には中国とロシアが拒否権を行使した。

 国際社会は現在進行中の「第2次休戦」交渉に期待をかけているが、見通しは明るくない。ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏は20日、ハマスの高官級代表団を率いてエジプトに到着し、エジプト総合情報局(GIS)のアッバス・カメル局長らと休戦交渉に乗り出した。カタールに拠点を置いて活動するハニヤ氏が直接エジプトに移動し交渉に乗り出すほど、戦況が悪化した状況だ。

 イスラエルも民間人の犠牲を止めるべきという国際社会の圧力が高いうえ、130人余りにのぼる人質(約20人は死亡したと推定)問題を解決しなければならないという国内の批判に直面している。イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は19日、イスラエル駐在80カ国余りの大使を招待し、「人質解放のために2度目の人道主義的(交戦)中断と(ガザ地区に)追加の緊急支援を行う準備ができている」と述べた。

 しかし、両者の隔たりがあまりにも大きく、早期に合意が出るかどうかは不透明だ。イスラエルは第1次のような「一時的な戦闘中止」には応じられるという立場だが、ハマスは「永久休戦」を望んでいる。さらに、最終決定権を持つイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「ハマスのすべてのテロリストは降伏と死、二つの選択肢しかない」とし、「ハマスの撲滅、人質の解放、ガザ地区における脅威の終息などの目標を達成するまで戦闘を止めない」という強硬な立場を貫いている。

 米国のジョー・バイデン大統領も20日、休戦の見通しを尋ねる記者団に「(交渉を)進めているが、現時点では妥結を期待していない」と述べた。現地メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」は21日、イスラエル側が約40人の釈放を条件に1週間ほどの休戦を提案したが、ハマス側がこれを断ったと報じた。

ホン・ソクチェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1121428.html韓国語原文入力:2023-12-22 18:55
訳H.J

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