イスラエル国防軍(IDF)がガザ地区の中核都市のガザ市に進入し、市街戦が事実上始まった。ガザ地区北部に残っていたパレスチナ住民たちは、白旗を持って南部に向かって果てしなく歩く避難行列に身を任せている。
イスラエルのネタニヤフ首相は7日(現地時間)、ホームページを通じて発表した声明で、「ガザ市は包囲され、我々はその中で作戦を行っている。イスラエル軍は毎時間単位でハマスを圧迫している」とし、ガザ地区最大都市であるガザ市で市街戦を繰り広げていることを明らかにした。ネタニヤフ首相は「これまで我々は地下と地上で数千人のテロリストを殺害した。地上侵攻が始まって以来、数多くのハマス司令部とトンネル、基地を破壊した」と主張した。イスラエルのヨアブ・ガラント国防相も同日、「我が軍はガザ市の心臓部にいる」とし、ガザ市内部でハマスの基地と司令官を対象に作戦を行っていると明らかにした。また「ガザ市は人間が建設した最大のテロ基地」だとし、「全体都市が一つのテロ基地で、地下には大規模のトンネルがあり、これは病院と学校とつながっている。我々は精密な情報を持ってこれを破壊している」と主張した。
イスラエル軍はパレスチナ民間人犠牲に対する批判が高まったことを受け、最近1日に4時間、特定の道路に「人道回廊」を設置し、ガザ地区北部住民にワディ・ガザ以南への退避を繰り返し呼びかけている。イスラエル軍アラブメディア担当のアビチェイ・アドレイ報道官は7日、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に「今日、午前10時から午後2時まで、サラ・アルディン道路がもう一度人道回廊となる」としたうえで、「先日のように、住民たちはこの時間にワディ・ガザ以南に向かう多くの人々と行動を共にするべきだ」という文と共に、避難民の行列を映した動画を公開した。
動画には家族単位の住民数百人が白い旗を持つか両手を頭上に上げながら、大規模に列をなして南部に歩いていく姿が映し出されている。サラ・アルディン道路はガザ地区北部から南部をつなぐ主要高速道路の一つ。イスラエル軍は5日と6日にもビラを撒き、ガザ地区の住民たちに当日午前10時から午後2時まで人道回廊を通じて南側に向かうよう呼び掛けた。今月4日、米国のデビッド・サターフィールド特使(中東人道問題担当)が「約35万人から40万人の住民が依然としてガザ地区北部に残っている」と指摘した後、イスラエル軍はこのような措置を下した。
しかし、避難民たちは、果たして安全に南部にたどり着けるのか、着いても安全な住居を確保できるのか、不安と恐怖に苛まれている。幼い息子と一緒に移動中のウェダド・アルガウルさんはCNNに「身分証明書だけ持って家から8~9キロメートルを歩いた。この道が安全だと聞いたが、無事に南部まで行けるかどうかは分からない」と語った。馬車に乗って子どもたちと一緒に避難しているウム・ザヘルさんは「この目で人々が死ぬのを見てきた。歩くこともできない。これからはどこに行けばいいのか」と話した。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は6日までに、約5千人の住民が歩いて4時間の距離の南に移動したと発表した。主要道路が深刻に損傷しており、燃料が不足しているため、徒歩でしか移動できない。このような過酷な環境の中、児童や高齢者、患者、障害者が含まれた家族全体が数十キロメートルを歩く場合もあると、国連は説明した。