トルコ・シリア大地震が発生してから1週間が経ったが、地震発生地域が広範囲で被害が大きく、政府の支援がくまなく届いていない。一部の地域では、政府の救援物資のトラックが見当たらないという不満の声が高まり、犠牲者に向けられた深い悲しみと哀悼の感情が無能な政府と異邦人に向けた「怒り」へと変わっている。
12日(現地時間)に訪れたトルコ南部のマラティヤ郊外のある村。高層ビルが次々と倒壊した市内に比べると、地震の被害は大きくなさそうだった。だが、崩れてひびが入った家では不安で眠れないため、住民の大半が寒さの中「野宿」をしていた。地震の被害が少ない家でも水道施設が破壊され、赤く濁った水が出る。
6日未明にトルコ南部とシリア北部を襲ったマグニチュード7.8の大地震の被災者たちは、政府の災害危機管理庁(AFAD)が提供したテントで過ごしていた。この村では政府が配るテントが足りず、村の人たちが急いで作ったテントが臨時の住処になっている。家に帰れない彼らはテントの中に三々五々集まってきて座り、一日を過ごす。
最も大きな問題は「寒さ」だ。夜になると気温が氷点下12度まで下がる。夜になると女性と子どもたちはテントの中で、男性たちは車で寝る生活が1週間以上続いている。テントの中のストーブでタバコの吸殻や飲み終わったミネラルウォーターのペットボトルなど、あらゆる生活ゴミを燃やすしかない。やむを得ない選択なのだろうが、外につながった煙突から真っ黒な煙が立ち上る。
13日、朝日が昇ると路地に駐車されている車から一人二人と出てきた。慣れたように車の中で服を着て、その車を運転して出勤することもある。この村で公務員として働くドアンさんは「マラティヤと近隣のアドゥヤマンは山岳地帯なので救援物資が届きにくい。その上、市内の被害が大きいため、テントや救援物資もまずそこに集中する。ここでは救援物資を積んだ災害危機管理庁のトラックがなかなか見られない」と語った。
1週間が経ち、犠牲者数も大幅に増えた。AFADは12日現在、今回の地震で死亡した人が2万9605人に達したと発表した。シリア側の死者3574人を合わせると、総死者数は3万3179人になる。過去20年間に発生した全世界の地震被害のうち、死亡者数基準で6番目だ。今回の地震より犠牲者数が多かったのは、2010年のハイチ(約22万2000人)、2004年のインドネシア(約16万5000人)、2008年の中国(約8万7000人)、2005年のパキスタン(約7万3000人)、2004年のスリランカ(約3万5000人)だけだ。
世界保健機関(WHO)は12日、シリアのダマスクスでオンライン記者会見を開き、もう一つの「憂鬱な数値」を発表した。今回の地震によるシリア内の死者数はこれまでで9300人に達するというものだった。WHOのリック・ブレナン中東非常対応局長は「シリア政府の影響圏地域で4800人が死亡、2500人が負傷し、反政府軍の影響圏地域で4500人が死亡、7500人が負傷したものとみられる」と述べた。ブレナン氏はこれまで入れなかった被害地域にアクセスできるようになったため、死者数が増え続ける見込みだとし、シリア北西部のアレッポとラタキアで約35万人の人が家を失ったと述べた。
恐ろしい悲劇から生き残った人々の悲しみと虚しさは、怒りへと変わっている。アダナで会った会計士のシャシネさんは、政府内の「コントロールタワーが見えない理由の一つは、そのような役割を果たしてくれる人々も地震で多く亡くなったため」とし、「そのような状況で、最も重要な最初の数日が何もできないまま過ぎてしまった」と語った。ドアンさんとほかの住民たちも、政府の支援が届かないことについて不満を募らせている状況だ。
被災者たちは氷点下の寒さ、伝染病、余震の可能性など、2次災害にさらされている。がれきの下敷きになったまま放置されている遺体が飲料水を汚染させる恐れがあり、被災者村でもトイレがまともに整っていないなど、衛生問題が深刻な状況だ。飲み水と食糧の不足が原因で略奪が横行している。崩れた家に入って貴重品を盗んで金庫を壊したり、商店街に入って生活必需品を盗むことも相次ぎ、ただでさえ心に傷を負った人々をさらに苦しめている。
そんな中、極めて危険な兆候も現れている。今回の大地震でひどい被害を受けたトルコ東南部は、12年間内戦中のシリアと隣接している。一部のトルコ人たちは「怒りの矛先」をシリア難民に向けている。マラティヤだけでなく地震被害地域の随所で「犯罪はほとんどシリア難民の仕業だ」、「トルコ人はそのようなことはしない」という非難の声が聞こえた。1923年9月の関東大震災の時も「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマが広がり、恐ろしい悲劇が起きた。
トルコ人たちは「責任者の処罰」を強く求めている。「世紀の災害」で発足20年ぶりに政権を失う危機に瀕したレジェップ・エルドアン政権は、略奪者を厳しく処罰する方針を示した。ベキル・ボズダー法相も耐震設計をしていない建物の責任者131人が取り調べを受けていると明らかにした。彼らの怒りの矛先が結局どこに向かうのか、心配の目で見守ることになる。