世宗研究所のムン・ジョンイン理事長は6日(現地時間)、ワシントンで開催された「地政学的変化と韓米同盟の未来」と題するセミナーで、北朝鮮が7回目の核実験に乗り出す前に、米国は対話再開に向けて大胆なアプローチを取るべきだと主張した。
ムン理事長はジョンズ・ホプキンス大学国際関係大学院と東アジア財団が共催した同セミナーで、北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射していることついて、「次は大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射と核実験になるだろうし、北朝鮮がそのような手順へと向かえば、意味のある対話の再開は極めて難しい」との見通しを示した。同氏は「過去の事例を見れば、7回目の核実験後の新たな対話と交渉の局面を期待する人もいるだろうが、今は違う」とし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権とジョー・バイデン政権は過去のようには動かないだろうと予想した。
ムン理事長は、北朝鮮が7回目の核実験を行う前に、米国は「より果敢なアプローチ」と「予防的外交」に取り組む必要があると述べた。そして、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の先月の最高人民会議での演説を見れば、対話の余地はあるように見えるとし、米国はアプローチを強化して悪循環を防ぐべきだと提言した。米中対立の激化については「韓国は新冷戦の最初のスケープゴートになりうる」とし、韓国政府のバランスの取れた実用的な外交が必要だと述べた。
ソウル大学国際大学院のパク・チョルヒ教授は、「(北朝鮮が危機を深めれば)かつての韓国政府は通常手を差し伸べて対話しようと語りかけた」とし、「(しかし)北朝鮮は今、新しい韓国を相手にしている」と語った。パク教授は、弾道ミサイル発射のような行動は韓米日の協力を強化し、北朝鮮が望むこととは「完全に逆の結果」を生むだろうと述べた。そして、北朝鮮は緊張を高め続けると考えられるとし、「北朝鮮との対話のチャンネルを開くとともに、状況を沈静化させる方策を考えなければならない」と述べた。
米外交問題評議会のスコット・スナイダー上級研究員は「(朝米)交渉へと向かう過程で危機が造成されるだろう」とし「まだ対話の着手につながるほどの危機には至っていない」と分析した。
ジョンズ・ホプキンス大学国際関係大学院のチャールズ・ドラン教授は、相次ぐ弾道ミサイル発射は日本を脅かし、韓国を孤立させようとする北朝鮮と中国の意図によるものと考えられると語った。同氏は「中国と北朝鮮は韓国がクアッド(QUAD)に加盟することを望んでいない」とし、韓国はクアッドに加盟すべきだと主張した。