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「1997年アジア通貨危機、また襲って来る可能性も」…人民元、円は連日下落

登録:2022-09-27 02:39 修正:2022-09-27 08:20
1ドル=7元、145円突破 
「アジア、金利より為替レートの方が大きな脅威」
米ドルと英ポンド/AFP・聯合ニュース

 ドル高で人民元と円の価値がともに下落したことで、アジア経済はかつての1997年の通貨危機水準の危機に陥りうるとの警告が発せられた。各国は自国通貨の防衛手段に苦悩しているが、全世界的な協調なくしてこのような流れを元に戻すのは難しそうだ。

 ブルームバーグは25日(現地時間)、このところの中国人民元と日本円の下落はアジア市場にかつての通貨危機水準の打撃を与える可能性があると報じた。米国がタカ派的な通貨緊縮を続けていることで大幅なドル高となっている中、中国と日本は緩和政策を固守しており、通貨の価値が大幅に下落している。中国は景気浮揚のため通貨緩和政策を維持しており、日本も「アベノミクス」と呼ばれてきた緩和政策を維持している。

 そのため、人民元は心理的なマジノ線といわれる1ドル=7元を超え、日本円も先週、取引中に一時1ドル=145円を突破した。みずほ銀行シンガポールの経済戦略責任者ビシュヌ・バラタンさんは「ある面で私たちはすでにグローバル金融危機水準の圧迫へと向かっている」とし、「損失が深まれば次の段階はアジア金融危機になるだろう」と語った。

 人民元と円がぐらつけば、アジア市場に対する多大な波及効果を生むことになる。中国は東南アジア諸国の最大の貿易相手国であり、日本円は世界で3番目に多く取引される通貨だ。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の日本円と新興国通貨との相関関係指数は、2015年以降最も高い水準だ。このような状況で人民元と円の価値が同時に下がれば、アジア金融市場からの急激な資本流出につながる恐れがある。シンガポールのDBSグループのチーフエコノミスト、タイムール・バイグさんは「輸出国であるアジア諸国にとっては、金利より為替レートの方が大きな脅威」だとし「副次的な損害がないとしても、1997年や1998年のような状況が起こりうる」と語った。ゴールドマン・サックスの首席為替エコノミストを務めたジム・オニールさんも、「1ドル=150円」を突破すれば1997年の金融危機水準の混乱を招く恐れがあると予測した。同氏は韓国ウォンをフィリピンペソ、タイバーツと共に最も脆弱な通貨の一つにあげた。

22日(現地時間)、日本の外国為替取引会社「外為どっとコム」のディーリングルームにドル相場が表示されている。この日、1ドルは145円を突破し、日本の通貨当局は円買いドル売り介入を行った=東京/ロイター・聯合ニュース

 円安を静観できなかった日本銀行は22日、24年ぶりに外国為替市場で円買いドル売り介入を行った。中国人民銀行も26日、先物為替に対する外貨危険準備金の割合を0%から20%に引き上げた。人民元の先物を売る際に発生する費用負担を重くし、人民元の売却を防ぐための措置と解釈される。しかし専門家は、「キングドル」の余波は特定の国や地域に限られないことから、全世界的な政策協調ではない「各個戦闘」式の介入は大きな効果を出せないだろうと予測する。円は22日、通貨当局の介入で1ドル=142円ほどで取引を終えたが、次の取引日からは再び続落。「ウォール・ストリート・ジャーナル」はこの日、「前例のない通貨環境に既存の理論は試されるだろう」とし「日本の円相場への介入が(各国の通貨介入の)始まりだといっても驚くに値しない」と報じた。

 だが、世界的な政策協調の可能性は低いとみられる。ブルームバーグは22日、「現在の為替市場は1980年代を思い起こさせるが、解決策は当時と同じではなさそうだ」と報じた。1980年代、米国が高いインフレ率を抑えるために強力な緊縮に乗り出したことでドルが高騰したことに対し、主要経済大国は1985年にドルの価値を下げ、円とドイツマルクの価値を引き上げる「プラザ合意」に到達した。ヘッジファンドのK2資産運用の調査責任者、ジョージ・ブブラスさんは「今、世界は1980年代よりはるかに分裂しているため、各自が自らの力で生き残らなければならない」とし、「ドル安に向けた世界的な協調の可能性はゼロに近い」と語った。

チョ・ヘヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/1060128.html韓国語原文入力:2022-09-26 13:39
訳D.K

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