日本の通貨当局が22日夕方、1998年6月以来24年ぶりに円安に対応した為替市場介入(ドル売り)を断行したなか、最近の世界的なドル高傾向(いわゆる「キングドル」)を鎮静化させるために、1985年9月の「プラザ合意」と似た国際協力が生じるかどうかが注目されている。プラザ合意は、当時日本とドイツに偏っていた米国の貿易収支赤字を減らすため、日本やドイツなど先進5カ国(G5)の中央銀行が協力し、米ドルをわずか6週間で大幅(10~12%)にドル安にする目標を達成した合意だ。
22日午後、日本の通貨当局は、円ドル為替レートが1ドル=145円を上回る激しい円安が続くと、電撃的な為替介入を断行した。日銀の為替介入は、韓国など東アジアで為替危機が起きた1998年6月以来24年ぶり。
財務省の神田真人財務官は、この日午後5時15分に当局が為替介入を断行したと公式に発表し、さらに午後6時30分には、鈴木俊一財務相とともに関連の記者会見を開いた。神田財務官は「政府として過度な変動は憂慮しており、さきほど(日本の通貨当局が市場に)断固たる措置を取った」と明らかにした。鈴木財務相は「(引き続き)過度な変動に対しては必要な対応を取りたい」と述べた。神田財務官は「(介入目的として特定の為替レートの)水準のことはまったく考えていない」としながらも、追加介入を示唆し、「(米国の財務省とも)緊密に連絡をしている」と言及した。この日の介入規模は公開されなかったが、数十億ドルを東京外国為替市場で売却したと市場は推定している。
日銀の断固とした介入により、円ドル相場は午後4時37分の1ドル=145.90円から約5時間後の夜9時48分には140.40円と3.8%の円高となった。この日の終値は142.08円を記録した。すると、主要6カ国の通貨の対ドルレートを示すドルインデックス(日本円の割合は13.6%)も、この日は最大で1.1%下落(午後4時6分111.810→午後5時43分110.494)し、同時間帯のユーロ、英ポンド、スイスフランなどの主要先進国の通貨の価値が一斉に1~2%急上昇した。ウォン・ドル相場も、ロンドンやニューヨークなどの域外のノンデリバラブル・フォワード(NDF)市場で1.1%のウォン高となり、一時的に1ドル1400ウォンを下回った。市場では、今回の介入の効果は実際の介入の規模より大きいと推定している。
米国と欧州の主要国は「日本との協調介入には乗りださなかった」と一斉に立場を表明した。米財務省は「日本の措置は理解するが、共同での介入には乗りださなかった」と確認し、欧州中央銀行(ECB)も「日本と協調しての外国為替市場への介入はしなかった」と発表した。日本の今回の市場介入は、ドル安に誘導するための協調介入の性質のものではないと明らかにしたのだ。
韓国の国際金融センター(KCIF)は23日、「今回の措置を機に、外国為替市場の参加者は、当面は日本の追加介入とその他の国々による介入の程度の強化など、政策的要素(市場介入リスク)をいっそう強く考慮することになる見通し」だとしたうえで、「日本の為替市場介入は、短期的には急激な円安傾向のスピードを抑制できるが、中長期的に円安傾向を反転させるかどうかは、依然として不確実だ」と評価した。国際的な投資銀行スタンダードチャータード銀行は「日本の通貨当局は毎日市場に登場することはないが、市場が恐れなければならないほどの持続的な変数になるリスクを念頭に置かなければならない」と指摘し、香港上海銀行(HSBC)は「その他の国々も断固とした措置を示して介入に参加でき、そのような動きが、1985年のプラザ合意と似た効果を起こす可能性もある」と言及した。
しかし、日本の単独介入では世界的なドル高傾向を反転させるのは難しいという分析も出ている。オランダの国際的な投資銀行ラボバンクは「円安阻止のためには、日本の単独介入よりも他国との協調介入が効果的だが、世界的な超ドル高傾向のため、プラザ合意のような国際的な協力の動きが現れる可能性は低い」と評価した。
プラザ合意のような政策協力の登場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が米国のインフレの沈静を確信するまでは「期待の見通しは暗い」という意味だ。さらに、ドル安に誘導する政策の方向は、米FRBの本格的な引締めとも相反する。国際為替相場の協力体制が成功するには、米国が協力しなければならないが、現時点では米財務省がドル安にむけて介入する可能性はほとんどない。オーストラリアの国際的な資産運用会社「K2」は「現在は、各国がインフレと為替相場の不安定のなか、それぞれが生き残りの道を模索しており、80年代よりはるかに分裂した状態」だと述べ、「ドル安に向けての国際的な政策共同歩調の可能性は非常に小さく、逆通貨戦争(自国の通貨の価値を高めるよう誘導)が続くだろう」と予想した。