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米下院議長の台湾訪問の際には「無慈悲な懲罰」…25年前と変わった中国

登録:2022-07-26 08:16 修正:2022-07-26 09:07
1997年のギングリッチ元議長の訪問の際は「黙認」 
8月のペロシ議長訪問の計画には絶対反対
台湾旗(左側)と米国旗/ロイター・聯合ニュース

 25年ぶりに推進される米国下院議長の台湾訪問計画で、米中関係がふたたび揺れ動いている。中国が「軍事対応」を行う可能性まで出ているなか、米国でも反対意見が浮上している。

 ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問計画は、18日付の英国紙「フィナンシャル・タイムズ」を通じて初めて報じられた。同紙は匿名の消息筋の話を引用し、「ペロシ議長は来月、代表団を率いて台湾を訪問し、台湾に対する支持を表明する計画」だと報じた。米下院議長は米議会を代表しており、大統領が職務不能になった場合、副大統領に次ぎ2番目に権力を承継するなど、米国の権力序列で3位に位置づけられている。

 この報道が出ると、中国は大騒ぎになった。米国が両国関係の「レッドライン」とみなされてきた「一つの中国」政策を事実上崩そうとする新たなシグナルだと受け止めることができるからだ。フィナンシャル・タイムズは23日、中国が米国に非公式的に厳重な警告を送り、訪問を阻止するために戦闘機を動員し、米軍用機を妨害する軍事行動に乗りだす可能性があると報じた。中国外交部の趙立堅報道官は25日、外交部の定例会見で「中国が送った非公式警告」に関する質問に、「あなたが知っている内容が正確だと思う」と答え、これを認めた。ただし、中国が軍事対応をするかどうかについては回答しなかった。中国はまた、17日からの1週間、毎日台湾の防空識別圏(ADIZ)に軍用機を進入させるなど、武力示威を継続した。

 ペロシ議長は4月、米国の国内法の台湾関係法制定43周年記念日(4月10日)を迎え、下院代表団を率いて台湾を訪問する予定だった。この法律は、米国が台湾と断交して中国と正式な国交を樹立し、それまで存在していた相互防衛条約と切り替えるために作ったものだ。この法律には「米国が台湾防衛のための武器を提供する」という内容が含まれている。

 しかし、4月の訪問は、ペロシ議長が新型コロナに感染したため延期された。当時も中国では王毅外相や官営メディアなどが同計画を強く批判した。官営メディア「環球時報」は4月9日付の社説で「病的に中国に反対し『レッドライン』に触れる者は、英雄ではなく歴史の罪人であり、必ず無慈悲な懲罰を受けるだろう」と主張した。

 ペロシ議長の今回の訪問は、25年前の1997年4月に行われたニュート・ギングリッチ下院議長の訪問時とは雰囲気が大きく異なる。当時、ギングリッチ議長は、韓国・香港・中国・日本を経て台湾を訪問し、台湾に行く前に中国で当時の江沢民国家主席に会った。当時、彼は中国に対して「米国が台湾を防衛することを理解してほしい」と述べた。これに先立ち中国は、台湾の李登輝元総統が1995年に米国を「非公式訪問」すると、台湾を相手にミサイル発射訓練を行うなど、中国と台湾の間で軍事的緊張を高めたことがある。米国下院議長は露骨に台湾防衛の意思を示した後、台湾に移動したが、中国はこれを強く批判できなかった。当時の中国の国内総生産(GDP)は世界7位台で、世界貿易機関(WTO)加盟をめぐり米国の同意が必要な状況だったからだ。

 バイデン政権もペロシ議長の訪問計画に否定的な立場だ。米国のジョー・バイデン大統領は20日、ペロシ議長の台湾訪問に関する質問に「国防総省は、今は良い考えではないと判断している」と述べ、反対の意向を表明した。米国はウクライナ戦争以降、ロシアを牽制することに力を集中するためにも、中国と全面対立を避けなければならない状況にある。

 ワシントンポストの外交・安全保障コラムニストのジョシュ・ロギン氏は、23日付のコラムで、米軍が来月代表団を率いて台湾を訪問する予定のペロシ議長を保護するための計画を立案していると伝えた。ペロシ議長が軍用機に乗り、空母を派遣する案などが考慮されていると説明した。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1052234.html韓国語原文入力:2022-07-26 02:41
訳M.S

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