日本政府と自民党がウクライナ戦争を名分に軍備拡張に拍車をかけている。防衛費を国内総生産(GDP)の2%に引き上げる案を明確にし、「敵基地攻撃能力」の保有を具体化するための兵器増強を進めている。
日本経済新聞は7日、自民党が台湾有事(戦争)を念頭に置いて、今月中に防衛費の増額と軍装備の導入などを政府に提言する予定だとし、年末までに改正する予定の国家安保戦略に反映することを目指していると報じた。同紙は、ロシアのウクライナ侵攻で日本国内の防衛力強化の世論が高まっていることを受け、提言時期も1カ月前倒しで進めていると付け加えた。
自民党の提言の主な内容は、防衛費の増額だ。防衛費を現在のGDPの1%水準から2%以上に引き上げる案が含まれる予定だ。達成時期や毎年の増額幅など実現策をこれまでより具体的に提示するものとみられる。自民党は昨年10月の衆議院選挙公約で、防衛費と関連し「北大西洋条約機構(NATO)諸国の国防予算のGDP比目標(2%以上)を念頭に、防衛関係費の増額を目指す」方針を明らかにした。当時、防衛費増額の意志を示したが、具体的な内容は盛り込まれなかった。
自民党が防衛費の増額を主張する理由は大きく分けて2つだ。ウクライナ戦争で米国がロシアに対応しなければならない状況で、中国や北朝鮮に対処するためには、日本の防衛力を強化しなければならないということだ。国際的に見ても、米国は2023会計年度(2022年10月~23年9月)の国防予算を今年より4.2%増額し、ドイツも国内総生産の2%以上に引き上げるなど、軍備拡張の動きが続いている。日本経済新聞は「自民党はウクライナ侵攻を機に日本周辺で起こり得る有事への対応について国民的な議論を喚起する狙いだ」と報じた。
自民党がこのように素早く動いているのは世論の影響が大きい。読売新聞が1~3日、電話世論調査を実施した結果、日本の防衛力強化について64%が「賛成する」と答えた。安倍晋三元首相も防衛費の増額を強く主張している。安倍元首相は3日、自身の地方区山口で開かれた講演会で、「(防衛費が)2022年度は(2021年度)補正予算と合わせて約6兆円だった。来年は本予算でこの程度の金額を確保することが重要だ」と述べた。今年の防衛費は本予算基準約5兆4500億円で、安倍元首相の発言通り引き上げるためには約11.1%増額しなければならない。
自民党は今回の提言に北朝鮮や中国など周辺国のミサイル基地を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有に対する具体的内容も盛り込むものと予想される。北朝鮮や中国に対する抑止力を高めるために軍装備の導入を要求し、「敵基地攻撃能力」保有の方法や用語も整理する考えだ。
日本政府も兵器の増強に拍車をかけている。東京新聞は5日、防衛省が防衛計画大綱と、これに基づいて自衛隊が備える武器体系を決めた「中期防衛力整備計画」の改正に合わせて、長距離「スタンドオフ」ミサイルを増強する方針を自民党安保調査会が非公開で開いた会議で表明したと報道した。同紙は「敵基地攻撃能力への転用も可能な兵器を増産したり、性能を高めたりすることで、中国や北朝鮮への抑止力を強化する狙いがある」と分析した。防衛省は非公開会議で「12式地対艦誘導弾(SSM)」の改良と早期実用化のための予算確保などを求めたという。防衛省は「12式地対艦誘導弾」を、現在200キロメートルの射程を5倍長い1000キロメートル以上に増やし、地上や艦艇だけでなく戦闘機にも搭載して2020年代後半まで実戦配備する案を推進している。