米国のジョー・バイデン大統領が先月上旬の岸田文夫首相との初の電話会談で、日本の防衛費増額方針に期待を表明したと、共同通信が27日付で米政府筋の話として報じた。岸田首相は就任翌日の先月5日、外国首脳の中で初めてバイデン大統領と電話会談を行った。
同通信は「バイデン政権は唯一の競争相手と位置付ける中国の抑止を念頭に、日本の安全保障分野でのさらなる負担を見込んでいる」とし、「初の対面での首脳会談が実現すれば(防衛費増額が)主要な議題となるとみられる」と報道した。岸田首相は年内に米国を訪問し、バイデン大統領と初の対面首脳会談を行う案を進めている。
自民党は先月31日、衆議院選挙を控え、現在国内総生産(GDP)の0.95%水準の防衛費を2%水準に大幅に増やすという内容の公約を発表した。岸田首相も今年9月の自民党総裁選挙で防衛費について「数字に縛られてはならない」と増額に意欲を見せた。
日本は1976年、三木武夫首相(当時)が日本の軍国主義化を防ぐため、「防衛費を国民総生産(GNP)の1%未満に制限する」という内容の政府の立場を閣議決定し、概ねこれを守ってきた。現在、日本の防衛予算は5兆1235億円であるため、2%水準に増えれば日本の防衛費水準は10兆円台を超えるとになる。日本が防衛費増額の動きを見せているのは、米中戦略対立の最前線に浮上した「台湾海峡」を含む東シナ海で大々的な軍備増強を行い、「対中国抑止力」を確保するためとみられる。
一方、駐日米国大使を歴任したウィリアム・ハガティ米上院議員(共和党)も、日本政府が防衛費を早めに2%まで引き上げるべきだと主張したと、朝日新聞が28日付で報じた。ハガティ議員は同紙とのインタビューで「米国はGDP比で3.5%以上を国防費にあて、日本や欧州に米軍を駐留させている」としたうえで、「同盟国が防衛予算をGDP比2%増額さえ困難だとすれば、子どもたちの世代に説明がつかない」と述べた。また「予算だけの問題ではない」とし、自衛隊と米軍の共同訓練などの拡大も求めたと、同紙は報道した。