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米国主導の安保理「対北朝鮮制裁強化」、中ロの壁に阻まれ失敗に終わるか

登録:2022-03-28 06:39 修正:2022-03-28 07:00
「火星17型」発射に対応するための国連安保理会議 
米国、2017年の安保理決議の根拠に追加制裁を推進 
中ロ「北朝鮮の正当な要求を無視してはならない」 
安保理糾弾声明も実現せず…「沈黙」との批判も
米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使(左から)、韓国のチョ・ヒョン国連大使、日本の石兼公博国連大使が今月25日、非公開会合後、共同声明を発表している=国連本部/AP・聯合ニュース

 北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星‐17型」の発射実験に対応し、米国が国連安全保障理事会レベルの強力な追加制裁案を用意すると明らかにした。しかし米中戦略競争の激化やウクライナ戦争などで米国と中ロ両国の関係が大きく悪化した状況であるため、協力を引き出すのは難しいと見られる。

 米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は25日(現地時間)、公開で招集された安保理会議で「北朝鮮の度重なる安保理決議違反に直面し、黙ってはいられない」とし、「制裁を更新し、強化しなければならない」と述べた。北朝鮮が米国全域を射程に収めるICBM「火星‐17型」を発射したことを受け、こうした「非常に不当な緊張を高める行為」に対抗するため、他の安保理理事国14カ国に制裁強化を協議するよう求めた。韓国のチョ・ヒョン国連大使は「新決議案を推進しようとする米国の計画に支持を表明する」と述べ、英国なども追加制裁に賛同する意思を明らかにした。北朝鮮の核ミサイル問題と関連して安保理理事会が公開で開かれたのは2019年12月以降初めて。

 米国は同日の会議で、「火星‐15型」の発射実験に対応した安保理の最後の対北朝鮮決議「安保理決議第2397号」に基づき、自動的に追加制裁に乗り出すべきだと主張した。2017年12月末に採択された同決議によって、安保理は北朝鮮への原油供給上限を年間400万バレル、精製油は50万バレルに縮小している。さらに「北朝鮮がまた核実験を行うか、ICBMを発射した場合、安保理が石油輸出をさらに制限する措置を取ることを決定する」という「トリガー(引き金)」条項を設けた。トーマスグリーンフィールド米大使は「今起きたことがまさにそれに当たる」とし、「行動を取る時だ」と述べた。

 しかし、中国とロシアは、北朝鮮が火星‐14型と火星‐15型などのICBMを相次いで発射し、6度目の核実験を強行した2017年とは違い、米国に協力できないという態度を示した。中国の張軍大使は「誰も緊張を高める状況につながる行為をしてはいけない」としたうえで、「米国は北朝鮮の正当な要求を無視し続けるのではなく、対話の早期再開のための道を開くため、魅力的な案を示すべきだ」と述べた。ロシアのアンナ・イェフスティグネワ国連副大使も制裁の強化は「容認できない社会経済的、人道的問題で北朝鮮住民を脅かすこと」だと主張した。両国は北朝鮮の挑発が度を越して朝米の激しい舌戦が行われた2017年には安保理制裁に同意したが、北朝鮮が2018年4月に韓国や米国との対話に乗り出し、核ミサイル実験を猶予(モラトリアム)したことから、対北朝鮮制裁の緩和を主張してきた。

 中ロが同日、明示的な拒否意思を明らかにしたことで、安保理の追加制裁は行われない見通しだ。中ロが以前とは異なり、「レッドライン」を超えた北朝鮮の行動を容認するような態度を示したのは、この5年間、安保理の主要常任理事国である中ロと米国の間に亀裂が生じたためとみられる。ジョー・バイデン大統領は就任直後の昨年3月、国家安保戦略(NSS)指針に中国を「安定的で開放的な国際システムに持続的に挑戦できる唯一のライバル」と指摘し、クアッドやオーカスなどを通じて対中包囲を強化しており、先月24日のウクライナ侵攻以後、ロシアとの関係は破綻に至っている状況だ。

 米国などは安保理レベルの報道声明も推進したが、中ロの反対で実現できなかった。そのため韓国、米国、日本などの国連大使は会議後に記者会見を開き、「北朝鮮のICBM発射を最も強力な言葉で糾弾する」と述べるにとどまった。彼らは「北朝鮮が核プログラムを引き続き進める中、安保理は依然として沈黙を守っている」として、中ロを批判した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1036386.html韓国語原文入力:2022-03-28 02:01
訳H.J

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