ロシアのウクライナ侵攻が1カ月になる時点で、ホワイトハウスがロシアによる戦争目的の達成が「明白に失敗した」と述べたことに対し、ロシア大統領府は「正確に計画通り進めている」として、全く異なる論評を出した。
米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は22日(現地時間)のブリーフィングで、ロシアは今回の戦争でウクライナを屈服させ、自国の力と威信を強化し、西欧を分裂・弱化させるという3つの基本目標を持っていると述べた。しかし「これまでロシアは3つの目標の達成に明らかに失敗した」とし、「実はその反対の状況を迎えている」と述べた。
サリバン補佐官は、ロシアの第一目標が失敗したのは「勇敢なウクライナ人が降伏を拒否」しているためだと述べた。第二目標の失敗は、「ロシアの力と威信が非常に失われたため」だと指摘した。第三目標の失敗は、「自由世界の国々がより団結し、より断固とした態度になったためだ」と主張した。
同日、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官はCNNとのインタビューで、戦争が「正確に事前に設定した計画と目的に沿って行われている」と述べた。プーチン大統領は目標を達成したのかという質問に対しては「まだ達成していない」と答えた。ロシアが主張するウクライナの「非武装化」と「中立化」を果たせていないという意味だ。ペスコフ報道官は同日、「作戦が2日ほどで終わると思っていた人はいない」と述べたと、タス通信が報じた。戦争が一般的な予測より長期化したという指摘を意識した発言だ。プーチン大統領やペスコフ報道官は、これまでも戦争は計画どおり進んでいると主張してきた。
しかし、米国と欧州では、ロシアが予測を上回る水準で苦戦しているという見方が一般的であり、いくつかの要因が重なって、ロシアが戦争の目的を達成するのが難しくなっているとみる人が多くなっている。ウクライナに比べて圧倒的な軍事力と少なくとも数カ月に及ぶ準備にもかかわらず、キエフ(現地読みキーウ)など主要都市周辺で強力な抵抗に遭い、突破口を見出せずにいるためだ。米国防総省関係者は同日、ウクライナ侵攻に動員されたロシア軍の戦闘力が、開戦初期を基準に初めて90%以下に低下したものとみられると述べた。これは、ロシア軍兵力と装備の損失を反映したものと分析される。
ロイド・オースティン米国防長官は最近、CNNとのインタビューで、ロシアが「複数のミス」を犯したと述べた。彼はロシア軍が「兵站問題で困っている」とし、「戦術情報もうまく活用できていない」と指摘した。また「地上作戦と空中戦能力の統合にも失敗している」とし、「ロシアは迅速に動いて非常に早く首都(キエフ)を占領できると予想しただろうが」、それは実現しなかったと述べた。
一方、ペスコフ報道官は今回のインタビューで、ロシアはどんな状況で核兵器を使用するのかという質問に「国の存亡が脅かされた場合」と答えた。プーチン大統領は先月24日、テレビ演説でウクライナ侵攻開始を宣言し、「いかなる人でも我々の道を塞ぎ、我が国と国民に脅威を加えようとする場合は、直ちに対応し、その結果はあなたたちの歴史全体を通して見たことのないものになるだろう」と警告した。このような警告は、3日後に氏が経済制裁と北大西洋条約機構(NATO)の敵対的発言を理由に核兵器運用部隊に警戒態勢を指示したことと相まって、核兵器使用の脅威と受け止められた。