ロシアのウクライナ侵攻が4週間目に入った中、南東部の主要都市のマリウポリに続き、南部都市のヘルソンでも人道危機への懸念が高まっている。ロシア軍が黒海沿岸最大の港町オデッサに対する攻勢を強化し、オデッサへの橋頭堡となる周辺地域でも戦闘が激しくなっている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は22日(現地時間)、ソーシャルメディアを通じて公開した演説で、マリウポリが廃墟と化したとし、都市から脱出を望む人々が10万人に達するが、抜け出せずにいると明らかにした。彼は食料や水、医薬品がすべて底をついたとし、ロシアが「爆撃または意図的に恐怖を高めることで」人道回廊を塞いでいると主張した。また、公務員と避難民脱出用バスの運転手らが捕虜になったとし、大きな困難の中でも、同日7026人がやっとの思いで都市を抜け出したと付け加えた。
3日にロシア軍が占領した南部黒海付近の都市ヘルソンも、都市封鎖が続き、住民が深刻な困難に直面している。同日のウクライナ外務省の発表によると、ヘルソン住民30万人が食糧と医薬品不足に苦しんでいると、ロイター通信が報じた。 ウクライナ外務省は「ロシア軍が都市を完全に封鎖しているため、食品などがほとんど底をついた状態」だとし、「ロシアは住民の避難のための回廊を開いていない」と伝えた。
ヘルソンは黒海沿岸の最大港町であるオデッサ近隣の主要都市で、ロシア軍の占領後も住民の抵抗が続いている。AP通信は21日、住民たちが街頭に出て抗議デモを行い、ロシア軍が空中に向かって威嚇射撃をしながら住民たちに自宅に帰ることを命令したと報道した。ヘルソンの現地メディアは、22日にも住民たちの抗議デモが相次ぎ、ロシア軍は催涙弾と閃光弾などを発射してデモ隊を解散させたと報じた。
ロシア軍がオデッサ市内の住居地域を爆撃するなど、同市に対する攻勢を徐々に強化する中、オデッサに向かう主なルートになる小さな都市ボズネセンスクで激しい戦闘が繰り広げられたと、BBCが報じた。ウクライナ軍はこの2日間、同市でロシア軍の攻勢を阻止した後、ロシア軍を東100キロメートルまで追い出すのに成功したと同放送は報道した。同市のイェウヘニ・ベリチコ市長は、住民たちが組織した義勇軍の助けを受けてウクライナ軍がロシア軍を撃退したとし、「どうやって私達がこのようなことを成し遂げたのか説明するのは難しい」と述べた。ベリチコ市長は、「ロシア軍が近く再び攻勢を展開するものと予想される」とし、「2回目の攻勢を防ぐには武器が足りない状況だ」と伝えた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は21日までにウクライナから周辺国家に脱出した避難民が355万7245人に達したと発表した。このうち、約60%の約211万人がポーランドに脱出し、ルーマニア(約54万人)やモルドバ(約36万人)、ハンガリー(約31万人)にも多くのウクライナ人が滞在している。ロシアに脱出した避難民も25万人以上にのぼるとUNHCRは伝えた。