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「欧米、ウクライナ亡命政府を検討」…最悪の場合に備え長期抗戦を準備

登録:2022-03-08 08:38 修正:2022-03-08 09:59
首都陥落時、亡命政府樹立の可能性 
ゼレンスキー大統領をトップにしてゲリラ抵抗を指揮 
ウクライナ西部やポーランドに設置のシナリオ
ヘビー級ボクシング世界チャンピオン出身のビタリ・クリチコ・キエフ市長が6日、検問所を訪問している=キエフ/AP・聯合ニュース

 米国と欧州諸国がウクライナの亡命政府樹立の可能性に備え、支援策を裏で準備しているという報道が出てきた。議論は初期段階にあり、確定した内容はないが、ロシア軍がウクライナの首都キエフ(現地読みキーウ)を陥落させる場合に備え、長期抗戦を準備している段階だということだ。

 ワシントンポストとCNNは6日、米国と欧州が、ウクライナ亡命政府が樹立されればこれをいかに助けるかを検討していると、それぞれ官僚の言葉を引用し報道した。キエフが陥落すれば、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領などのウクライナ政府首脳部が退避し、ゲリラ戦方式を通じた長期抗戦を指揮しなければならないと考えているということだ。現在、ウクライナ軍が強烈な抵抗によりロシア軍の進撃をかなり阻止してはいるが、兵力と火力の劣勢は明らかであるため、最悪の場合を備えざるをえないという話でもある。米国国防総省の高官は、国境地帯に集結したロシア軍の95%が、この日時点でウクライナ領土に投入された状況だと説明した。

 匿名を要求した米国政府の関係者は、ゼレンスキー大統領がポーランドで亡命政府を率いることを含め、「すべての可能性に備え、非常計画を組んでいる」と述べた。しかし、米国と欧州の官僚は、キエフ死守を叫ぶゼレンスキー大統領らのウクライナ政府とこのような計画を論議していないと明らかにした。これに先立ち、開戦初期に、米国がゼレンスキー大統領にキエフ脱出を勧めたが彼が拒否したという報道が出たことがある。米国と欧州側では、ゼレンスキー大統領がキエフが陥落する状況でも、脱出を拒否したり脱出できない状況に陥れば、他のウクライナの閣僚の一部を避難させ、亡命政府を樹立させる案も議論されている。

 米国と欧州の官僚らは、亡命政府の場所としてウクライナ西部都市でポーランドに近いリビウが挙げられていると述べた。しかし、ロシア軍がウクライナ全域を占領しようとした場合、隣国のポーランドに向かうことは避けられないと考えている。彼らは、ウクライナ各地でゲリラ戦が展開される場合、米国などが支援した武器が役割を果たすことを期待している。

 米国と欧州が、ウクライナ領土全体がロシア軍の手中に入っても亡命政府を通じた抵抗が可能だと考えているのは、ロシアに対する国際的な反発が強いという点からだ。亡命政府を支援しロシアを制裁するという国際的な動力が生き続けると予想しているのだ。2日には、国連の緊急特別総会で、ロシアを糾弾し撤退を要求する決議が圧倒的支持により通過した。

 ウクライナ軍が強い抗戦の意志を示し、非正規戦にも備えてきたという点も挙げられる。ある西側の官僚は「(ウクライナ人は)中央化された指揮部や首都からの統制がなくても抵抗を続けるとみられる」と述べた。別の情報部門の高官は、第2次大戦時の経験を取りあげ、「ウクライナ人は猛烈な戦士」だと述べた。彼はロシア軍がウクライナ全土を占領しても、長い場合は数年にわたり武装抵抗に直面するはずだとみなした。

 ワシントンポストは、ゼレンスキー大統領の顧問であるミハイル・ポドリャク氏がこのような「非常計画」に言及することを拒否し、「ウクライナはキエフ攻撃を準備するロシアに対抗し、断固として防衛を準備しているという点だけを話す」と述べたと報じた。彼は「私たちは戦争で勝たなければならず、他の選択肢はない」と述べた。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1033833.html韓国語原文入力:2022-03-07 21:17
訳M.S

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