岸田文雄政権が日本の外交・安全保障政策の基本方針である国家安全保障戦略の改正に向けて本格的に動き始めた。岸田首相は早ければ年内に米国を訪問し、ジョー・バイデン大統領新しい防衛政策について話し合う予定だ。
日本経済新聞は9日付で、「政府が(2013年に制定された)国家安全保障戦略の改正に向け、国家安全保障会議(NSC)で具体的検討を進め、今月から自民・公明両党との協議を月内に始める」と報じた。ただし、新しい防衛政策の方向性をめぐり、与党の自民党と公明党の間に隔たりがあるため、実質的な改正は「(来年7月の)参院選後になる公算が大きい」と見通した。時事通信も首相官邸幹部の話として「選挙前は難しい」と報道した。防衛政策をめぐる意見の相違が参院選で自公連立に否定的影響を与えかねないという懸念のためだ。
公明党は自民党が積極的に進めている「敵基地攻撃能力」の保有について否定的な立場を示してきた。公明党の山口那津男代表はメディアとのインタビューで、「敵基地攻撃能力は1956年に提起された古めかしい議論の立て方だ」とし、「専守防衛」の維持が日本の防衛政策の基本だと強調した。防衛費を国内総生産(GDP)の2%水準(現在0.95%)に増額する案にも批判的だ。山口代表は「社会保障などへの資源配分が増えていく傾向の中で、防衛費だけを突出させ、急に(現行の1%水準を)2倍にするような資源配分は国民の理解を得られない」と述べた。
国家安保戦略の改正が来年の参院選以降に見送られる可能性が高いにもかかわらず、日本政府が議論を始めた背景には米日首脳会談があると見られている。今年4月、菅義偉前首相は米日首脳会談で、52年ぶりに台湾海峡の平和と安定の重要性に言及し、「日本は同盟および地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決議した」と宣言した。日本経済新聞は「次回の日米首脳会談では『日本の決意』の具体策として安保戦略の改正を(岸田首相が)直接伝える見通し」だと報道した。同紙は「安保戦略の改正は日本の役割をどう拡大するかの試金石になる」と付け加えた。