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「湿度の高い天候が自殺増加を引き起こす」…60カ国の資料で初めて判明

登録:2021-11-17 07:55 修正:2021-11-17 09:08
世界60カ国38年分の資料分析の結果 
高い湿度が精神の健康に悪影響 
女性・青少年が特に脆弱な階層
湿度の高い天候が自殺のリスクを高める可能性があるという研究が発表された。暴雨のなかで傘を使って歩く人々/EPA・聯合ニュース

 世界60カ国の38年分の気候データと自殺率を分析した結果、湿度の高い天候が自殺の増加を引き起こし、特に女性と青少年に及ぼす影響は明白だという研究が出された。

 気候変動によって増えた異常な高温現象が、死亡の増加など健康に悪影響を及ぼすという警告は多く提起されていたが、湿度が精神の健康(メンタルヘルス)に及ぼす影響についての大規模な研究は今回が初めてだ。英国日刊紙「ガーディアン」が15日(現地時間)付けで報じた。

 英国の「ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン」やスイスのジュネーブ大学などの研究チームはこの日、国際学術誌「ネイチャー・サイエンティフィック・リポート」を通じて発表した論文で、湿度の高い天候が多い場合、自殺が「統計的に有意に」増加するという分析を出した。自殺のリスクには、異常な高温より湿度の影響の方がはるかに明白に現れることがわかった。

 研究チームは、1979年から2016年までの世界60カ国の自殺統計と気温・湿度データを分析した。研究対象地域は、欧州、中南米、アフリカなどで、アジアからは、タイや日本などが含まれた。湿度が高まる場合に自殺が有意に増加した国としては、南米のガイアナ、アジアのブルネイとタイ、欧州のロシアとスペイン、スウェーデンなど12カ国が挙げられた。湿度が高い熱帯地域だけでなく、気温が相対的に温和な欧州でも似たような影響が現れたのだ。

 研究チームは、湿度と自殺の関係は男性より女性の方がさらに明白だったと説明した。大気中の湿度が一定水準に上昇する場合、自殺のリスクが高まった国の平均値を見ると、男性の自殺のリスクは4.3%増加した一方で、女性の場合は5.3%増えた。年齢別に見ると、5~14歳と55歳以上で湿度が自殺に及ぼす影響がさらに強まったと研究チームは指摘した。

 共同研究者の英国サセックス大学のソーニャ・アイェブ=カールソン研究員は「湿度は人体の体温調節機能を低下させ、これはメンタルヘルスに問題がある人々の状況をさらに悪化させることがありうる」とガーディアンに明らかにした。彼女はまた「メンタルヘルスは不安感など様々なことが関係するが、寝不足は特に重要で、高い湿度は睡眠を妨害する」と説明した。女性と青少年がより強い打撃を受けることについて、同研究員は「社会構造と権力関係のため、極端な気候変動が女性と青少年にさらに強い苦痛を与える」と指摘した。

 一方、米国カリフォルニア工科大学などの国際研究チームが昨年5月に発表した論文では、致命的なほど高い湿度と異常な高温現象は、1979年に比べ2017年は全世界で2倍以上増えたと明らかにしている。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1019498.html韓国語原文入力:2021-11-16 14:36
訳M.S

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