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ノーベル物理学賞受賞した真鍋氏「好奇心を満たす研究続けてきただけ」

登録:2021-10-07 06:43 修正:2021-10-07 07:09
米プリンストン大学上級研究員の真鍋淑郎氏 
「基礎的な研究を極めるのが重要」 
「二酸化炭素削減に向け各国が連帯すべき」
今年のノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎米プリンストン大学上級研究員(90)が今月5日、同大学で記者会見を行っている/AFP・聯合ニュース

 「初めは気候変動がこれほど問題になるとは夢にも思っていなかった。好奇心を満たす研究を続けてきただけだ」

 地球温暖化研究に対する功績が認められ、5日、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎米プリンストン大学上級研究員(90)は同日、日本経済新聞とのインタビューでこのように感想を述べた。「ノーベル物理学賞は私のような研究で受賞した人が過去にはいなかった」とし、「気候物理学というテーマで受賞できて非常に光栄」だと、自身の研究が世界的に評価されたことを喜んだ。彼は同日、ニュージャージー州プリンストン大学キャンパスで行われた記者会見でも、英語で「好奇心」という単語を繰り返し強調した。

 真鍋研究員は大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が気候に及ぼす影響を初めて数値で明らかにした研究者だ。ノーベル賞選考委員会は真鍋研究員が「大気中の二酸化炭素濃度の上昇が地表の温度上昇につながることを実証した」と説明した。地球温暖化の原因を科学的に示した彼の研究は、現在、世界的に進められている脱炭素の動きに影響を与えたものとして認められている。

 自然災害の多い日本で生まれ育った真鍋研究員は、子どもの頃から気候に関心が強かった。彼の小学校の同級生は朝日新聞に「すぐ隣に住む親戚も優秀だったが、『遊びに行っても(真鍋さんは)いつも勉強してる』と、ぼやいていた」とし、「『日本は台風が来ないと雨が少ない』と言っていたことを覚えている」と語った。

 周りの仲間からは「好奇心の塊」「自由で気さくな性格」「研究をエンジョイする人」などと評されている。真鍋研究員と一緒に働いた同僚は「研究が好きでたまらない人だった。学生や同僚の研究者からも人気があった」と振り返った。

 すでに世界的に有名になった2011~2016年、名古屋大学で論文を準備する際、個人研究室を持たず、学生と一緒に研究していたことも有名だ。学生たちによく「ノーベル賞はいつ取るんですか」と聞かれていた真鍋研究員は、大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴う地球温暖化を19世紀に予測したスウェーデンの科学者、アレニウスを引用して、「彼が先だから私は無理」と明るく答えたと、朝日新聞が報じた。

 その一方で、真鍋氏は研究にこだわりがあった。「シンプルな研究を深く掘り下げるのが大切だ。本当に重要な計算は(高性能のコンピューターに頼らず)自分のコンピューターでやらなければならない」とよく言っていたという。

 二酸化炭素が地球温暖化の主犯だということは明らかにしたが、今後この問題を解決するためには何をすべきか。この質問に真鍋研究員は朝日新聞とのインタビューで「自分が研究してきたことよりも、もっともっと難しい問題だ」と答えた。また「二酸化炭素を削減するとしても一国だけでは意味がない」とし、各国の連帯が必要だと訴えた。

 真鍋研究員は愛媛県出身で東京大学で博士課程を修了した後、渡米して海洋大気局で働いた。後に米国国籍を取得した。スウェーデン王立科学院のノーベル委員会は5日、ノーベル物理学賞に真鍋氏を始め、ドイツのクラウス・ハッセルマン氏(89)、イタリアのジョルジョ・パリーシ氏(73)の3人が共同受賞したと発表した。

 日本出身のノーベル賞受賞者(米国国籍取得者を含む)は真鍋氏を含めて28人。物理学賞の受賞者としては12人目だ。日本の基礎科学分野のノーベル賞受賞者たちは、真鍋氏のように好奇心を強調することが多かった。 2019年ノーベル化学賞共同受賞者に決まった旭化成の吉野彰氏は「無駄なことをいっぱいしないと新しいことは生まれてこない。何に使えるかとは別に、自分の好奇心に基づいて新しい現象を見つけることを一生懸命やることが必要だ」と述べた。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1014053.html韓国語原文入力:2021-10-06 11:27
訳H.J

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