「五輪は無観客、居酒屋は『無飲酒』というけど…まともに行ってるのは何一つないんです」
東京で飲食業に従事しているミズナシレナさん(29・仮名)は、現在日本が置かれている状況をこう説明した。バブル方式の防疫は開幕前に崩壊し、緊急事態で飲食店や居酒屋での酒類販売が完全に禁止されたが実際は守られていない状況を批判したのだ。「今、飲食店や居酒屋で働く人々は生活の危機に直面している。だから『五輪もやっているのに何で酒を売っちゃいけないのか』という不満が高まっている。当然ルールが守られるはずがない」と彼女は話した。
実際、東京の街中は緊急事態が下された地域とは全く思えなかった。日本とスペインのサッカー準決勝が行われた3日、午後8時以降も上野駅近くのアメ横市場は、屋外テーブルでビールを飲む人たちでにぎわっていた。最大の歓楽街とされる新宿歌舞伎町の一部の居酒屋では、テレビでサッカー中継を見ながら酒を飲む人が目についた。風俗店のスタッフらは街に出て積極的に客引きを行っていた。パトロール中の警官らは彼らを全く制止しなかった。東京のある居酒屋で働くアラキユウコさん(24・仮名)は「いま飲食業はとても大変。商売をしないわけにはいかない。五輪もやっているんだから」と話した。
上野公園も同じだ。ここはもともとホームレスの人たちが多く集まる場所として有名な場所だが、五輪期間中、公園を埋め尽くしたのは酒を飲むために公園に集まった人々だった。ベンチには酒を飲む人があふれ、さらには公園内の寺でも飲酒する人が目についた。性別も、年齢もさまざまだった。彼らの酒席は夜明けまで続いた。隔離期間中にホテルの窓の外で毎日続いていた騒音の震源地を目で確認した瞬間だった。最近、BBCは「日本政府が五輪のためにホームレスを追い出した」と報じたが、彼らを追い出した場所が居酒屋に変わったような格好だ。
小池百合子東京都知事は最近、「市民は防疫対策を強化してほしい」と強調し、不満はさらに高まっている。共同通信は3日、小池知事が今月1日に東京都庁前で記者団と会い「都民や事業者、飲食店の皆様にさらに防止対策を強めていただくようお願いしたい」と述べたと報じた。だが、日本国民の間では「(五輪を)なぜこのまま続けるのかの理由を分かるように説明して」「お祭りやってる横でジッとしてろというのは無理」などの批判の声が高まっていると伝えた。
東京は7月12日に502人だった1日の新規感染者数が、開幕日の7月23日には1359人に増えた。開幕9日目の7月31日には4058人に急増した。8月2日の検査では2195人と新規感染者は減少したが、週末の検査による減少などにより相対的に感染者が少ない月曜日の基準としては過去最高値だ。月曜日の感染者が2000人を超えたのも今回が初めてだ。
五輪と感染者数の増加との関連性を巡り、さまざまな議論が行われている。菅義偉首相や小池都知事は「五輪とコロナ拡散は関係ない」という立場だ。しかし、鳩山由紀夫元首相は自身のツイッターに「東京のコロナ感染者が予想された以上に急増している。金メダルと共にこの国は奈落に落ちるのか」と残すなど、批判も高まっている。