日本で「平和の少女像」などが展示される「表現の不自由展」の開催をめぐり、取り消しを求める右翼の抗議などによって波紋が広がる中、大阪展示場で「毒ガス」テロを連想させる脅迫事件が発生した。
15日付の共同通信の報道によると、今月16日から18日にかけて、「表現の不自由展示かんさい」が開催される大阪府立労働センター「エル・おおさか」に、前日に「サリン」と書かれた文書と液体入りの封筒が送られたという。サリンは猛毒性神経物質の一種で、日本では1995年のオウム真理教による東京地下鉄サリンテロ事件を思い出させるもので、恐怖の対象となっている。エル・おおさか側は万が一の事態に備え、職員ら約10人を20分間避難させ、大阪府警に通報した。府警は「危険な液体ではなく、水の可能性が高いとみて調べている」と、同通信は報じた。
13日には「開催するのなら実力阻止に向かう」という内容の脅迫文が送られたという。
一方、大阪高裁は同日「エル・おおさか」が展示場の利用許可を取り消したのは問題があると判決し、16~18日の展示は予定通り行われるものとみられる。今月9日には、大阪地裁も展示会の実行委員会が申し立てた効力停止仮処分申立てに対し、「重大な危険が予測されるとまでは言えない」とし、会場利用を認める決定を出した。
エル・おおさかでは16~18日、表現の不自由展の展示が予定されていた。ところが、右翼が電話や宣伝車両による抗議を始めたことを受け、「利用者の安全が確保できない」として、利用許可を取り消した。