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「麻薬より収益大きい」…コロナによる世界の保険体系の空白に「ニセ薬」広まる

登録:2021-07-06 10:01 修正:2021-07-06 12:26
世界の保健危機をあおる偽薬品 
鎮痛剤から感染症・腫瘍治療薬まで、途上国・先進国ともに広がり 
年間750億~2千億ドル規模…世界人口の25%が偽薬の被害に
南アフリカ共和国の行政首都プレトリアで行われたワクチン供給拡大を求めるデモで、参加者が「私たちはワクチンを求める」と書いたプラカードを掲げて行進している。新型コロナの拡散以後、偽の薬の販売者がさらに幅を利かせ、保健危機を深めている=プレトリア/AFP・聯合ニュース

 新型コロナウイルスの大流行で全世界の保健体系が最悪の状況に直面している中、偽の薬までが幅を利かせ、保健危機をさらに煽っている。

 英国の途上国支援団体「ブラザビル財団」、アフリカ疾病予防管理センターなどの関係者は、開発専門オンラインメディア「デベックス」に最近寄稿した文で、偽の薬または基準に達しない低質の医薬品による被害が、新型コロナ大流行と重なりますます深刻になっていると警告した。各国の保健当局がコロナ遮断に奮闘している中、偽薬品業者が行政の空白を利用して不当な利益を得るのにまい進しているということだ。アフリカ医療団体「ファームアクセス財団」のガーナ責任者、マクスウェル・アントウィ博士も最近、「偽薬品市場は麻薬製造より収益が大きい巨大産業に膨らんだ」とし、これに対する世界の関心と対処を求めた。

 「安全な医薬品へのアクセスのための欧州同盟」(EAASM)によると、全世界の偽薬品の市場規模は年間750億~2000億ドルにのぼる。また、オンラインで売られている全世界の薬の97%は違法に流通している。にもかかわらず、オンラインで薬を購入する人の数は欧州だけでも1億3000万人にのぼると同団体は指摘した。オンラインを通じて主に活動する違法の製薬会社だけでも、全世界に3万社が広がっていると推算される。このため、偽の薬の被害を受けた人は世界の人口の約25%にのぼるとブラザビル財団などは指摘した。

 特に最近はコロナ関連の偽・不良医療製品が広まっている。国際刑事警察機構(インターポール)は先月8日、偽薬品の取り締まりのための国際協力活動である「パンゲア作戦」を通じて、違法な薬を販売しているオンラインサイト約11万3000件を閉鎖し、関連事犯277人を摘発したと明らかにした。インターポールは「5月18日からの1週間の取り締まりを通じて2300万ドル規模の違法な医薬品と医療装備を摘発した」とし「医療装備のうち半分ほどがコロナ診断キットだった」と説明した。インターポールは昨年3月にも約90カ国とともに1400万ドル分の偽医薬品を摘発している。

 国際協力を通じて摘発される製品は、不良マスクや基準に達していない手指消毒薬から、規制機関の承認を受けずに流通している抗ウイルス薬品など様々だった。特に最近はマラリア治療薬「クロロキン」を新型コロナ治療薬として違法に流通させる事例が目立って増えた。

 世界保健機関(WHO)に報告された事例によると、偽の薬の60%は開発途上国で流通し、残りの40%は先進国で流通している。流通する偽の薬は、安価な鎮痛剤から高価な心血管または腫瘍関連薬品まで種類は様々だと保健機関は指摘した。この中で被害が最も大きい偽の薬は、各種の感染症治療薬、マラリア治療薬、泌尿生殖器関連薬品、性ホルモン製品などだ。

 偽薬品業者が特に目をつけている地域は、相対的に保健体系が整っていないアフリカだ。WHOとインターポールの推算を総合すると、アフリカで流通している医薬品の30~60%が偽薬品または基準に達していない医薬品だ。開発途上国の平均値(10%)よりはるかに高い数値だ。

 サハラ以南のアフリカだけで、1年に5歳以下の子ども12万人が偽マラリア薬のために命を失っている。同地域の39カ国の5歳以下の全人口の3.75%に達する数値だ。高い薬を手に入れられない親たちに良い薬を安く売ると言ってだまし、彼らの子どもの命を奪う犯罪者が後を絶たない。

 偽薬品の被害は大人も避けられない。米テキサス州とニューヨーク州の2人の医療研究者はある論文で、数年前、ガーナの55歳の女性が続けて服用していた脳卒中の薬を一度変えたところ、皮膚がんにかかった事例を紹介した。薬を変えたとたんに皮膚に異常反応が現れ、しまいには皮膚がんと診断された。調査の結果、変えた脳卒中の薬に発がん物質が入っていたのだ。ナイジェリアでは、乳児用歯科薬品に含まれていた毒性物質のため、84人の幼児が死亡したケースもある。論文の共同著者であるテキサス州「バレーメディカルセンター」の医師ハモンド・クァメ・アゼイ氏は「この2つの事例に接して偽の薬に関するこの論文を書くことになった」とし「偽の薬を根絶するための新しい対応策が切実に求められる」と指摘した。

 状況が特に深刻なアフリカでは、国際協力の動きも現れている。コンゴ、ガーナ、ナイジェリアなどの6カ国が昨年、偽の薬に対する共同対応を宣言し、最近ガンビアも参加したと、ブラザビル財団が明らかにした。WHOも彼らの対応を支援している。

 ブラザビル財団のリチャード・アマルビー代表らは「供給が需要に追いつかない状況での空白を、利益だけを考える組織が偽の薬で埋めている」とし、「強固な(医薬品)供給網を構築し、すべての人に質の良い医薬品を適正価格で供給するための政策を、国際協調を通じて講じなければならない」と訴えた。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1002283.html韓国語原文入力:2021-07-06 07:17
訳C.M

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