東京五輪まであと50日余りという中で、日本政府は五輪を中止するにはすでに手遅れと判断したとみられる。
朝日新聞の2日の報道によると、首相官邸のある幹部は「(五輪)中止という選択肢はない」と断言し「そういう時期がきた」と述べた。また別の政府関係者も毎日新聞とのインタビューで「もはや引き返せない」として、開催中止は検討しないことを明確にしたと伝えた。新型コロナウイルスの拡散傾向がまだ止まらないうえに反対世論も強いが、五輪を取り消すにはもう手遅れという雰囲気が日本政府内で形成されたとみられる。
7月23日に開幕する東京五輪は、この日を基準として51日後だ。東京五輪に出場する日本選手団のワクチン接種など、日本政府は事実上五輪の準備が始まったとみている。日本選手団は1日200人余りがワクチンを接種し、来月中旬までに1600人余りの選手および関係者が2回目の接種を終える予定だ。選手団の総監督である緒方瑞樹・日本オリンピック委員会(JOC)本部長は「これで安心して競技することができる」と明らかにした。
外国選手団も東京五輪のために初めて日本に訪れた。ソフトボール女子オーストラリア代表チームの選手と関係者約30人は1日、成田空港を通じて日本に入国した。彼らは群馬県に留まり来月17日まで事前練習を進める予定だ。東京オリンピック大会組織委員会の幹部は、朝日新聞に「今後入国する(外国)選手が増えれば雰囲気が変わるだろう」と話した。
だが、外国選手団の入国がどれくらい続くかは不透明だ。当初外国選手団に合宿訓練の場所を提供しようとしていた地方自治体のうち、現在までに105カ所が選手団や地方自治体の懸念で計画を取り消した。先月14日の45カ所から半月で2倍以上に増えた。
五輪強行に対する憂慮の声も上がり続けている。これまで五輪に関連して言葉を控えてきた日本政府内の新型コロナ対応専門家会議の代表も、公開的に立場を表明した。尾身茂・新型コロナ対策分科会会長は1日、参議院内閣委員会で、感染状況が最も深刻なステージ4下で五輪が開催されれば「さらに医療に負担がかかるリスクがあるのは(分科会の)皆の大体の意見」と話した。直接的に「五輪中止」を表現しなかったものの、遠まわしに強い憂慮を伝えたのだ。
分科会のまた別の委員である舘田一博・東邦大教授(前日本感染症学会理事長)も最近、記者団に対し「東京で緊急事態宣言が出されている状況で五輪ができるとは思わないし、やってはいけないというのは皆のコンセンサスだ」と明らかにしたと毎日新聞が伝えた。東京など10地域は今月20日まで緊急事態宣言が発令された状態だ。