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[ニュース分析]「部分的な非核化には部分的な制裁緩和」バイデン政権の北朝鮮政策

登録:2021-05-03 06:01 修正:2021-05-03 09:23
バイデン政権、北朝鮮政策の概要を公開 
オバマ政権の「戦略的忍耐」とトランプ政権の「ビッグディール」間の第三の道模索
米国のジョー・バイデン大統領が先月14日(現地時間)、ホワイトハウスで記者会見を行っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン政権が発足100日を迎え、北朝鮮政策の概要を公開した。朝鮮半島の完全な非核化を目標に、バラク・オバマ時代の「戦略的忍耐」でも、ドナルド・トランプ時代の「全部かゼロか」でもない、実用的アプローチを取るという内容だ。北朝鮮はこれに合わせて、米政府を非難する論評を相次いで発表した。朝米が動き始めた。

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は30日(現地時間)、記者団に対し、北朝鮮政策の見直しが完了したとして「米国の目標は依然として朝鮮半島の完全な非核化だ」と述べた。「過去4政権の努力にもかかわらず、この目標を達成できなかったという点を明確に認識している」としたうえで、「我々の政策は一括妥結(グランドバーゲン)の達成に焦点を置かず、戦略的忍耐に依存することもない」と強調した。また、「我々の政策は北朝鮮との外交に開かれており、外交を模索する調整された実用的なアプローチを求めている」と述べた。彼女は「我々は韓国や日本、そして他の同盟、友好国と各段階で協議を重ねており、今後もそれを続ける」と加えた。バイデン大統領は先週、アントニー・ブリンケン国務長官やロイド・オースティン国防長官、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、マーク・ミリ合同参謀議長から北朝鮮政策の見直しの結果について報告を受けたと、ワシントン・ポストが報道した。ワシントンのある消息筋の話として、バイデン政権が近日中に北朝鮮政策を具体的に公開すると報じた。

 サキ報道官が明らかにした北朝鮮政策の特徴は、トランプでもオバマでもなく“バイデンの北朝鮮政策”で差別化を図った点にある。北朝鮮を事実上放置し、核開発を加速化させたと批判されたオバマ大統領の「戦略的忍耐」や、北朝鮮の完全な非核化とすべての制裁解除を交換しようとしたトランプ大統領の「ビッグディール」方式を捨て、第三のアプローチを目指すということだ。ワシントン・ポストの報道によると、米政府のある高官は「トランプ政権は『オール対オール』を、オバマ政権は『ゼロ対ゼロ』を求めた一方、バイデン政権の北朝鮮政策はその中間」だと述べたという。彼は「米国に対する脅威の除去を目指した、北朝鮮に対する実用的かつ調整された外交アプローチ」だと説明した。

 これは完全な非核化という目標を維持するものの、部分的な非核化の見返りに部分的な制裁緩和を行う段階的なアプローチを取ることを示唆するもので、注目を集めている。同高官は「特定の措置に対し(対北朝鮮制裁の)緩和を提供する用意のある、慎重かつ調整された外交的アプローチ」と述べた。 「スモールディール」(小さな合意)を続けながら、非核化に向けて進む方式と言える。

 バイデン政権はまた、トランプ前大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が2018年6月に署名したシンガポール合意を認める方針だという。米政府高官は「我々のアプローチはシンガポールおよびそれ以前の合意に基づいている」と述べた。シンガポール合意は、新たな朝米関係の樹立▽朝鮮半島の持続的・安定的な平和体制の構築▽朝鮮半島の完全な非核化▽朝鮮戦争に参戦した米軍の遺骨の送還の4項目で構成されている。ウィ・ソンラク元ロシア大使は本紙との電話インタビューで、「シンガポール合意に100%従うというよりは、米国がすでに行った合意に基づくという意味」だと分析した。

 ジョセフ・ユン元国務省北朝鮮特別代表は、バイデン政権が非現実的な「CVID」(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)という用語を使っていない点や、段階的アプローチを強調した点、シンガポール合意の尊重を示唆した点などを挙げ、「非常に合理的でバランスの取れたアプローチ」だと評価した。彼は本紙との電話インタビューで「これで朝米対話の扉が少し開かれたかもしれない」とし、「これからは老練な外交が重要だ」と述べた。

 カギとなるのは、北朝鮮の反応だ。北朝鮮は2日(韓国時間)、相次いで談話を発表し、「外交と断固たる抑止力」を強調したバイデン大統領の施政方針演説と北朝鮮の人権状況を批判した国務省報道官の声明を批判し、それに相応する対応を取るとして、強く反発した。米国がいかなる北朝鮮政策を打ち出しても、北朝鮮がそれに応じなければ意味がない。米国平和研究所のフランク・オム先任研究員はツイッターで「北朝鮮に対する調整されたアプローチは新たな道ではない」とし、過去6カ国協議などで目指したものだと指摘した。さらに「北朝鮮が交渉テーブルにつけば作動するだろうが、問題はいかに北朝鮮を対話の場に呼び込むかにある」とし、それを実現する方法として、圧力と挑発を繰り返す方法と、新しく平和な朝米関係の構築に向けた包括的かつ戦略的努力のシグナルを送る方法があると述べた。

 慶南大学極東問題研究所のキム・ドンヨプ教授は、本紙との電話インタビューで、過度な楽観を警戒した。キム教授は「北朝鮮が米国の発表を見て談話を公開したと見るべきであり、(談話の内容からして)その程度では物足りないと思っているようだ」とし、「(2019年2月の)ハノイ朝米首脳会談が失敗に終わったのだから、北朝鮮の立場からすると、米国が『新しい計算法』を示さなければならないのに、期待に及ばなかったため、語気を強めたのだ」と述べた。

 中国の役割も見守る必要がある。米中が貿易、技術、軍事などで全面的な競争を繰り広げる中、北朝鮮への経済支援というカードを持つ中国が朝米対話ムードづくりに協力するかどうかは、今後の朝米関係において非常に大きな影響に及ぼすとみられる。バイデン政権は北朝鮮政策の見直し結果を韓国や日本などの同盟と米議会に説明し、共感づくりに乗り出している。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/993514.html韓国語原文入力:2021-05-02 21:51
訳H.J

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