菅義偉首相の就任後初めて実施された衆参3選挙で、与党の自民党が全敗した。今回の選挙は、新型コロナへのずさんな対応や側近政治家の不正腐敗など、菅政府の国政運営全般に対する審判と見られている。
NHKは26日、北海道、長野、広島の衆参3つの選挙区で前日に行われた選挙で、自民党は候補者擁立を見送った選挙を含め全敗したと報じた。特に広島は「自民王国」と呼ばれる地域にもかかわらず、敗北した。同選挙区では、菅首相の側近の河井案里前議員が、2019年の選挙で地域の有力者に金品を提供した容疑で有罪判決が下され、再選挙が行われた。
衆議院北海道2区は、自民党の吉川貴盛元農林水産相が収賄罪で今年1月に起訴され、議員辞職したことで、自民党が候補者擁立を見送ったため、最初から野党の勝利が予想されていた地域だ。参議院の長野での補欠選挙は、新型コロナで亡くなった羽田雄一郎元国土交通相の実弟で野党統一候補の羽田次郎氏(立憲民主党)が自民党候補を抑えて当選した。
朝日新聞は「選挙戦で問われた『政治とカネ』の問題に加え、現下のコロナ対応への不満が高まるなか、菅義偉首相はより厳しい政権運営を迫られる」と報じた。 日本経済新聞が23~25日に実施した世論調査(1026人)の結果によると、回答者の65%が政府の新型コロナ対策を「評価しない」と答えた。1カ月前より10ポイント以上上昇した数値だ。
民意が冷ややかに変わった状態で、今年衆議院総選挙を行わなければならないだけに、政府与党の危機感が高まっている。菅首相は同日、選挙結果が出た後、記者団に「国民の審判を謙虚に受け止めている」とし、「ただすべき点はしっかりただしていきたい」と述べた。衆院選は早ければ今年7月4日の東京都議会選挙に合わせるか、五輪後に行われるとの見通しもある。
ただ、今回の衆参3選挙で与党が敗北したからといって、有権者が野党の方へと傾いているわけでもない。次期首相にふさわしい人物として、ワクチン接種を担当している河野太郎行政改革担当相が24%で1位を守っている。石破茂元自民党幹事長(16%)や小泉進次郎環境相(14%)、安倍晋三元首相(8%)も次期首相候補に挙げられた。菅首相は4%の支持を獲得し、先月より1ランク下がった6位となった。