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[コラム]日本の「連米反中」はルビコン川を渡ったのか

登録:2021-04-23 07:11 修正:2021-04-23 12:14
台湾を連ねた日本の「連米反中」はアジアをどこに追い込むのだろうか。今の状況は、120年前に英国が日本を前面に出しロシアをけん制しようとして東アジアを戦場にしたのとは、本当に違うのだろうか。
米国のジョー・バイデン大統領と日本の菅義偉首相が16日、ホワイトハウスのローズガーデンで行われた共同記者会見に参加するために歩いている=ワシントン/AFP・聯合ニュース

 16日の米国と日本の首脳会談での共同声明で「台湾海峡の平和と安全の重要性」が明記された。東アジアには冷戦期よりも深い対決の断層線が引かれることになった。台湾問題に触れることにより、米日同盟は反中という価値に突き進んでいる。

 1951年の米日安全保障条約に基づく米日同盟は、現在の国際秩序の土台である17世紀の欧州のウェストファリア条約以降、強大国の間で結ばれた最も長く続く同盟になるほど、異例の恒久性を示してきた。しかし、この同盟の主要な標的である中国問題では、日本は独自性を保とうとしてきた。

 吉田茂に代表される戦後日本の「保守本流」は、経済優先と周辺国重視の路線を広げようとした。これを通じて周辺国に認められるアジアの指導国としての日本の地位を固めようとした。日本の安全保障と繁栄は結局はアジアにかかっていると信じた吉田首相は、中国との関係を正常化するという方針だった。しかし、当時の米国のジョン・ダレス国務長官は、吉田に台湾の国民党政府を認めなければ日本の主権を回復させないと脅し、吉田は屈服せざるを得なかった。

 それでも吉田は、朝鮮戦争の際に中国と非公式な貿易協定を結び、封鎖された中国への突破口を開いた。1954年には日本の議員代表団が中国を訪問し、毛沢東から「毎日謝罪を強要されるわけにはいかないではないか」と、過去を不問に付すという言葉まで得た。吉田に続く鳩山一郎首相も中国代表団を招致し、米国が要求する軍事力行使に抵抗した。後任の首相である石橋湛山も、中国との和解により経済的な利益を得て、冷戦秩序において一方にだけ立つのは警戒しなければならないと主張した。

 石橋が脳梗塞で倒れ、反共と安全保障を重視する「保守傍流」の代表である岸信介が首相になると、そのような流れは引っくり返った。米国は中央情報局(CIA)まで動員し、岸に政治資金を与え彼の首相職を後援した。岸政権下での日本は、社会主義圏封鎖という米国の戦略の前哨基地の役割を忠実に果たした。にもかかわらず日本は、中日関係を妨げてきた米国が1970年代初めに前触れなく中国と和解すると、米国より先に中国との国交正常化と平和友好条約の締結を速戦即決で進めた。対中関係だけは独自性を示そうとした。

 2009年に鳩山一郎の孫である鳩山由紀夫が首相になり、「東シナ海を友愛の海」にするとして、米国よりも中国との関係強化を重視する政策を繰り広げた。当時「アジア回帰」政策を掲げ中国との対決を始めたバラク・オバマ政権と、激しい外交衝突が起きた。彼は1年も経たずに失脚した。続いて岸の孫である安倍晋三が首相になり、日本再武装と平和憲法改正を掲げ、再び米国の忠実なパートナーに復帰した。

 鳩山の失脚に続く安倍の歴代最長となる首相職の在任は、岸に始まった保守本流と傍流の地位逆転を完成させた事件だった。中日関係の悪化は1982年の日本の歴史教科書改訂に触発された過去の問題が発端だったが、根本的には中国の強大化とこれを脅威とみなす日本の政治地形の変化によるものだ。

 歴史は繰り返されるのだろうか。20世紀前後に日本が大陸侵略に乗り出した最大の背景は、ロシアの脅威に対する先制対応であり、同盟を結んだ英国の後援を受けた。この侵略の最初の戦利品が日清戦争の勝利で獲得した台湾だった。台湾は中国にとっては日本帝国主義に苦しめられた恥辱の象徴だが、日本には自分たちの植民地支配を正当化させる象徴だった。そのため台湾は、戦後の中日関係でも常に問題だった。台湾派である保守傍流は、中国派である保守本流の中日関係改善に待ったをかけた。そのような台湾を日本は米国との反中同盟に連ねた。

 日本の竹内行夫・元外務事務次官は朝日新聞で「今回の中国への意志表明は『ルビコン川を渡った』ともいえる」と評した。柳澤協二・元官房副長官補は「米国の新たなミサイルの日本配備の議論もありえる」としながら「台湾有事になれば、日本の目の前が戦場になる。本当にそれでいいのか、と絶えず考えていかなければならない」と述べた。朝日新聞は「菅首相が米側の意図を読み、足並みをそろえる『覚悟』を持って会談に臨んだのかどうかだ」と問いただした。

 台湾を連ねた日本の「連米反中」はアジアをどこに追い込むのだろうか。今の状況は、120年前に英国が日本を前面に出しロシアをけん制しようとして東アジアを戦場にしたのとは、本当に違うのだろうか。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/991982.html韓国語原文入力:2021-04-22 02:08
訳M.S

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