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「慰安婦被害者は性奴隷ではない」というハーバード大学教授の論文をめぐり波紋広がる

登録:2021-02-02 06:05 修正:2021-02-02 06:36
ハーバード大学のラムザイヤー教授 
慰安婦被害を自由な契約のように歪曲 
日本で幼年期を過ごし、日本政府から叙勲も
ハーバード大学ロースクーのジョン・マーク・ラムザイヤー教授//ハンギョレ新聞社

 米国の大学教授が日本軍慰安婦被害者を「売春婦(prostitute)」だと主張した論文を学術誌に掲載する予定で、波紋が予想される。

 論文情報サイト「サイエンス・ダイレクト」の1日現在の情報によると、「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミックス」(International Review of Law and Economics)3月号に、日本軍慰安婦被害を売春の延長線上で捉える見解を盛り込んだ、ハーバード大学ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授の論文が掲載される予定だ。「太平洋戦争における性サービスの契約」(Contracting for sex in the Pacific War)というタイトルの論文要約によると、「女性たちは戦場に行くため、短期契約を要求しており、募集業者たちは女性たちにインセンティブを与える契約を要求した」と書かれている。「募集業者と女性は(女性が)十分な収益を上げれば、早く戦場を離れられようにし、1年または2年単位の巨額の前払い金を付けた契約を結んだ」と書いた。

 産経新聞は最近、同論文を「世界に広まる『慰安婦=性奴隷』説を否定」という見出しで紹介した。同紙は同論文が「いかなる対象であれ、人間は与えられた条件の下で、自らの利益を追求するという経済学の手法を利用して分析した。慰安婦も例外ではない。本論文は他の研究者の業績や当時日本・朝鮮の史料に基づき、朝鮮人慰安婦も日本人慰安婦も公認の売春婦であり、日本に拉致され、売春を強いられた『性奴隷』ではないこと、慰安婦をめぐる問題点は、朝鮮における募集業者にあったことが指摘されている」と報じた。

 しかし、ラムザイヤー教授のこのような主張は、慰安婦動員の過程の強制性と日本軍の介入を認めた日本政府の公式見解である「河野談話」(1993年)とも相反する内容だ。河野談話は「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と明らかにした。

 ラムザイヤー教授は幼少時代を日本宮崎県で過ごし、専門は日本法だ。2018年には日本政府の勲章である旭日章の種類の一つ「旭日中綬章」を受章した。

チョ・ギウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/981368.html韓国語原文入力:2021-0200:09
訳H.J

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