米国や欧州では、新型コロナウイルスワクチンの供給が滞りを見せていることから、一部の国は「法的対応」を予告している。ワクチン1ビン当たりのワクチン接種回数を増やす「ワクチンの絞り出し」方法が考案されたり、1次接種と2次接種の間隔を延ばす方法も用いられたりしている。第1四半期から韓国にワクチンを供給することになっているアストラゼネカも、欧州向けの供給に困難が生じているが、韓国の保健当局は「韓国への供給計画に変更はない」と述べた。
23日(現地時間)のBBCなどの報道によると、アストラゼネカの報道担当は前日の22日に「コロナワクチンの初期供給量は予想より減るだろう」と語った。アストラゼネカは、供給量がどれほど減るかは具体的に示していない。匿名の欧州連合(EU)の関係者はロイター通信に対し、第1四半期の供給量は、当初計画されていた8000万回分より60%ほど減の3100万回分になるだろうと語った。アストラゼネカのワクチンは、今月末ごろに欧州医薬品庁(EMA)の承認を受けるとみられる。
これに先立ちファイザーも14日、ベルギー工場の生産施設の拡張工事のため、来月初めまでにEUに供給することとなっている物量は供給できないと通知している。EUはファイザーのワクチンを6億回分購入することで合意している。
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相はこの日、本人のフェイスブックで「深刻な契約違反」と述べ、「アストラゼネカに契約事項を順守させ、国民の生命を保護するために、あらゆる法的手段を使う」と語った。イタリア政府は、先に供給縮小を通知してきたファイザーに対しても、法的対応の方針を明らかにしている。ポーランドとオーストリアの当局も、アストラゼネカのワクチン供給遅延に対して措置を取るという立場を示している。
ワクチン不足となっている米国は、「ワクチンの絞り出し」という妙手を打っている。ファイザーのワクチンは1ビンに5回分だが、実際の用量は不足に備えて6回分入っている。これを、無駄の出ない低容量注射器を用いて6回の接種に用いるのだ。こうすることで、計画より20%多く接種できる。米食品医薬品局(FDA)はこの日、低用量の特殊注射器の使用を承認した。
早くから取られている1次接種と2次接種の間隔を延ばす方法も、活用する国が次第に増えている。米国疾病予防管理センター(CDC)はこの日、FDAの立場の軟化により、コロナワクチンの1次と2次の接種間隔を最大で6週間まで延ばしてもよいことにした。ファイザーのワクチンの接種間隔は3週間、モデルナのワクチンの間隔は4週間だが、これを2~3週間延ばしたもの。すでに英国が今月初めからワクチンの接種間隔を広げており、カナダとデンマークも同じ方法を使っている。
一方、コロナワクチンの供給に支障が生じていることについて、韓国の疾病管理庁は24日、「韓国はSKが生産するアストラゼネカのワクチンが第1四半期から供給される予定で、現在のところ供給計画に変更はない」と答弁資料で明らかにした。