中国の製薬会社シノバックの新型コロナウイルスワクチンの効能をめぐり、疑問が広がっている。臨床第Ⅲ相試験を実施した国ごとに試験結果が食い違っているためだ。
13日のロイター等の報道を総合すると、シノバックのコロナワクチン「コロナバック」は、ブラジルで実施された臨床第Ⅲ相の結果、効能は50%をかろうじて超えた。効能50%は世界保健機関(WHO)が勧告した使用承認の最低基準値だ。
コロナバックの第Ⅲ相試験を主導したサンパウロ州のブタンタン研究所は12日(現地時間)、記者会見を開き「コロナバックの予防効果は50.3%だった」とし「安全で効果的であり、緊急使用承認に必要な要求事項をすべて満たした」と発表した。同研究所は当初、医療スタッフなどの志願者1万1000人あまりを対象としたコロナバックの第Ⅲ相臨床試験を先月中旬頃に終えた直後に最終結果を発表すると予告していたが、はっきりした理由もなく3回も発表を先送りし、物議を醸していた。
コロナバックの効能についての同研究所の発表は、先週サンパウロ州政府が発表した内容とは大きな違いがある。当時サンパウロ州の保健当局は、コロナバックの効能は78%にのぼるとし、今月25日から3月末までに、医療スタッフや60歳以上の高齢者など900万人を対象として予防接種を実施する方針だと発表していた。
コロナバックの臨床Ⅲ相を実施している他の国の中間発表の内容も千差万別だ。インドネシア保健当局は11日、中国の王毅外相の訪問に合わせてコロナバックの緊急使用承認を下し、ワクチンの効能を65.3%と発表している。インドネシアはすでにコロナバッグ300万回分を輸入しており、安全性を強調するためにジョコ・ウィドド大統領が同日午前、最初の接種者となっている。
一方トルコは先月24日、コロナバックの効能を91.3%と発表している。ウォール・ストリート・ジャーナルは「インドネシアとトルコの臨床第Ⅲ相の参加者はそれぞれ1600人と1300人程度にとどまっており、効能などの試験結果を一般化するのは困難と見られる」と指摘した。シノバックは臨床第Ⅲ相の結果について、これまで公式には言及していない。